新潟県は22日、柏崎刈羽原発の過酷事故に備え、2012年度中に同原発から10~30キロ圏の住民向けに配備予定だった安定ヨウ素剤約132万錠について、担当職員が購入したように装ったものの、その実は「ヨウ素剤ゼロ」の状態が続いていたことを明らかにしました。
安定ヨウ素剤は、甲状腺被ばくを防ぐために服用するもので、新潟県は県内全市町村に配備する方針ですが、期限の13年3月末までに調達できるめどがたたなかったため、男性職員が手続きを中断したのに書類では「購入済み」と報告したため、周囲もチェックできなかったというものです。
泉田裕彦知事は「不適切な事務処理で未調達があった。誠に遺憾で、深くおわびします」とのコメントを出しました。
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ヨウ素剤132万錠未配備 新潟県、職員が購入装う
東京新聞 2014年4月23日
新潟県は二十二日、東京電力柏崎刈羽原発(同県柏崎市、刈羽村)の過酷事故に備え、二〇一二年度中に同原発から十~三十キロ圏の住民向けに配備予定だった安定ヨウ素剤約百三十二万錠について、担当職員が購入したように装い、「ヨウ素剤ゼロ」の状態が続いていたと発表した。
安定ヨウ素剤は、甲状腺被ばくを防ぐために服用する。原子力規制委員会は東電福島第一原発事故を受け、一二年に配備する範囲を各原発の三十キロ圏に拡大した。
新潟県は県内全市町村に配備する方針を示している。泉田裕彦知事は「不適切な事務処理で未調達があった。誠に遺憾で、深くおわびします」とのコメントを出した。
新潟県によると、期限の一三年三月末までに調達できるめどがたたず、四十代男性職員が手続きを中断。書類で「購入済み」と報告したため、周囲もチェックできなかった。国から支払われた交付金約八百万円は返還する方針。職員は「事態が公になることが怖かった。ヨウ素剤に対して認識が甘かった」と説明しているという。
このほか原発から十キロ圏に配備している十六万八千錠のうち、十四万錠が先月末に期限切れになっていたことも判明。柏崎市の指摘で、県が担当職員の過去の業務を調べたところ、十~三十キロ圏に配備されていないことも分かったという。
購入予定だった約百三十二万錠は、防災用倉庫として使っている旧興農館高校(新潟市)に配備したとして、事務処理されていた。