2014年4月19日土曜日

地下水問題の決め手の筈の「凍土壁」に疑問が続出

 原子力規制委は、18日、福島原発で地下水が原子炉建屋に流入するのを抑えるため、周囲の土を凍らせる「凍土壁」について検討会を開いたところ、経産省資源エネルギー庁や東電の説明に対し安全性を判断できない」などと疑問点を指摘する意見が続出しました。
 
 もともとこのような規模で「凍土壁」を作る構想自体が初めてのものであり、「凍土壁」自体が実現可能なものなのかを含めて、これまで十分に検討してきたのか疑問でした。
 また仮に凍土壁が技術的に確実なものになったとしても、それが構築された後に、どのようなメカニズムで汚染水の発生量が安定的に抑制されることになるのかも、それほど明らかにはされていません。
 
 そもそも6月から着工の予定というのに、東電乃至国側がいまだにその技術的な詰めを行って来なかったこと自体大問題です。
 これまで東電は、作っては見たものの問題が出たというケースが多く、最近も地下水のバイパス放流用に掘った井戸の一つから、汚染された地下水が汲み上げられたことが確認されたばかりです。
 幸いにして汚染はまだ12本の井戸中の1本に留まっているので問題化していませんが、もしも汚染が他の取水井戸にも拡大して行けば、どのような根拠で12本の井戸の位置を決めたのかが問われることになります。
 
 「凍土壁」は、それが成功して初めて地下水の「コントロール」に一歩近づけるという技術の筈であり、完成させるのに要する工事費用もまた巨額です。それだけにあらかじめ技術的に十分に詰めておく必要があるのは、あまりにも当然のことです。
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「凍土壁」に疑問続出=安全性の証明要求-規制委
時事通信 2014年4月18日
 原子力規制委員会は18日、東京電力福島第1原発で地下水が原子炉建屋に流入し放射能汚染水が増えるのを抑えるため、周囲の土を凍らせる「凍土壁」について検討会で議論した。経済産業省資源エネルギー庁や東電の説明に対し、規制委側からは「安全性を判断できない」などと疑問点を指摘する意見が続出した。
 
 座長役の更田豊志委員はエネ庁の安全対策の検討状況を聞き、「えいやっと決めた部分がかなりある。これだけで安全上の判断はできない」と批判した。エネ庁側は「超一級の専門家に作ってもらった」などと反論。更田委員が「根拠を示してください」と語気を強める場面もあった。
 
 さらに更田委員が「一つ一つ説明してもらいます」と畳み掛けると、エネ庁の新川達也事故収束対応室長が「凍土壁の議論なので、本筋から若干外れている」と不満を漏らした。
 
 検討会メンバーで首都大学東京の橘高義典教授は「壁が水圧を受ける。地盤の安定性が心配だ」と懸念を示した。京都大の林康裕教授も「検討が十分でないところも、見込みみたいなところもあるようだ」と述べた。
 
 エネ庁と東電は6月に着工する計画だが、規制委の認可が得られていない。規制委は安全性の議論を続ける方針で、結論が出る時期は未定だ。