幼児を含む不特定多数が来る東京豊島区の区立池袋本町の公園で、遊具近くの地表から毎時四八〇マイクロシーベルトの放射線量が検出されました。これは2時間で年間の限度量に達するものです。
豊島区は、2012年1月に都のごみ収集車の車庫だったという土地を購入し、13年3月に開園しましたが、この間放射能のチェックを全く行わず結果的に区民たちに被曝させました。
放射線源の除去は勿論ですが、他所でもそういう可能性があるのかどうかを知るためにも、そういう線源が地中に存在した経緯を解明してほしいものです。
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豊島区高放射線量 通報受け調査2日後
東京新聞 2015年4月24日
東京都豊島区の区立池袋本町電車の見える公園で、遊具近くの地表から毎時四八〇マイクロシーベルトの放射線量が検出された問題は、区民から「放射線量が高い場所がある」と通報がなければ発覚しなかった。区が測定したのは、通報から二日後。識者は「自然界にはない高いレベルだと思う。早く取り除くべきだ」と話す。
区によると、通報は二十日にメールで届き、その日のうちに内容を確認した。だが、公園内の遊具を測定したのは二十二日午後だった。滑り台の階段近くで毎時二・五三マイクロシーベルトを検出。国の除染の基準値(毎時〇・二三マイクロシーベルト)を超えたため、滑り台のある遊具をフェンスで囲って使用禁止とし、原子力規制委員会に助言を求めた。
二十三日午後、規制委の職員が立ち会って遊具周辺の地表を調べたところ、滑り台近くから毎時四八〇マイクロシーベルトが検出され、区は公園への立ち入りも禁止した。区は二十三日、記者向けに発表文を配布、ホームページで情報提供したほか、その日の夜、近隣住宅に注意喚起のちらしを投函した。
区環境保全課は、調査開始まで時間がかかったことについて「これまでにないケースだったので、周辺環境の確認やどう測定するかなど、さまざまな検討が必要だった」と説明。「地中に何らかの放射性物質が存在すると考えられる」としているが、公園全体の地表はまだ調べていないという。
調査に立ち会った規制委職員は「放射性物質の種類や、いつごろから存在していたかが分からず、人体への影響については現時点で何とも言えない」と説明。今後は「区による放射性物質の除去作業などで、必要があれば助言していく」と話す。
放射線の種類は二十二、二十三日の測定から、透過力が強いガンマ線と判明したが、どんな放射性物質が埋まっているのかはまだはっきりしない。公園は二〇一二年一月に都から土地を購入し、一三年三月に開園した。都のごみ収集車の車庫だったという。毎時四八〇マイクロシーベルトという数値は、そこに二時間いれば一般人の年間限度とほぼ同じ量を被ばくすることになる。地上から一メートルの高さでも同五~六マイクロシーベルトと除染基準を上回る。
金沢大の山本政儀教授(環境放射能)は「福島の原発事故後、低線量でも人々は敏感になっている。数値にかかわらず、早く取り除くべきだ」と指摘。「子どもが遊んでいる場所。子どもは放射線の感受性が大人より高いと言われている」と話している。
区が設置している区民向けの相談窓口は電03(3987)4174。
◆万全の態勢で対応
高野之夫(ゆきお)豊島区長は「区民の皆さまにご心配をおかけし、心よりおわび申し上げます。高い放射線量は検出地点が非常に限定されており、人体への影響は極めて低いと考えています。不安を解消するためにも一刻も早い除去に向けて、万全の態勢で対応してまいります」とのコメントを出した。
毎時480マイクロシーベルトの放射線量が測定され、フェンスで囲まれた
公園の遊具=23日夜、東京都豊島区
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