2015年4月13日月曜日

大飯差し止め判決 樋口英明氏が担当 高浜原発仮処分

 関西電力高浜原発3、4号機の再稼働差し止め仮処分申請に対する決定の判断を14日、福井地裁が出します。仮処分の決定は直ちに実施されるので、住民側の申し立てを認めた場合、司法判断で原発を稼働させない全国初のケースとなります
 
 担当の裁判長樋口英明氏で、同氏は昨年5月に大飯原発3、4号機の運転差し止めを認めた地裁判決を出しました。1日付で名古屋家裁に異動しましたが、名古屋高裁が福井地裁判事職務代行を発令したので、引き続きこの事案を担当します。 
 
 樋口英明裁判長は、大飯原発3、4号機の運転差し止め判決で次のように述べています。
 
 「国民の生存を基礎とする人格権を、放射性物質の危険から守るという観点からみると、本件原発に係る安全技術及び設備は、万全ではないのではないかという疑いが残るというにとどまらず、むしろ、確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに、初めて成り立ち得る脆弱なものであると認めざるを得ない。
 
 極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と、電気代の高い低いの問題等とを、並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことである、と考えている。
 
 たとえ本件原発の運転停止によって、多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土と、そこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが、国富の喪失であると、当裁判所は考えている。
 
 原子力発電所で、ひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染は、すさまじいものであって、福島原発事故は、我が国始まって以来、最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を、原子力発電所の運転継続の根拠とすることは、甚だしい筋違いである。
 
 とても心に残る言葉で、こうした明晰な考え方をする人の決定は明らかと思われます。
 ただこの人が家裁に異動して、今後は原発の審理に係わらなくなるのは極めて残念なことです。
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高浜原発仮処分14日通知 福井地裁 差し止め申し立て
中日新聞 2015年4月10日
 県内や京都府などの住民ら九人が、関西電力高浜原発3、4号機(高浜町)の運転差し止めを求めた仮処分申し立てについて、福井地裁は十四日に決定内容を通知することを決めた。九日に双方の弁護団に示した。仮処分が認められれば、原発の運転や設置をめぐる仮処分の申し立てで、住民側の主張が認められる全国初のケースとなる。
 
 裁判長は昨年五月に大飯原発3、4号機の差し止め判決を出した樋口英明氏。同判決は現在、名古屋高裁金沢支部で争われ、確定していない。今回、仮処分で差し止めが決まった場合、高裁や最高裁で決定の執行停止命令が出ない限り、関電側は再稼働できないことになる。
 最終の審尋となった三月十一日、樋口英明裁判長は「機は熟している。決定は出します」として結審。同時に申し立てていた大飯3、4号機の差し止め審理は、審尋の次回期日を五月に指定した。樋口裁判長は四月一日付で名古屋家裁に異動したが、職務代行で仮処分の結論を出す。樋口裁判長は「高浜は二月に設置変更許可が下りた」とも指摘しており、住民側の代理人弁護士は「再稼働が近い高浜原発に関しては緊急性があると判断したのだろう」と分析している。
 関電側は結審したことに「十分な審理が尽くされていない」などとして、樋口裁判長ら三人の裁判官を審理から変えるよう福井地裁に忌避を申し立てたが却下。名古屋高裁金沢支部に即時抗告をしていた。