玄海原発のある佐賀県の山口祥義知事は17日、反原発を訴える市民団体と就任後初めて県庁で面会しました。
原発の運転差し止めを求める団体など6団体が1月に合同で要望していたもので、15分という短い時間でしたが、知事は、再稼働を認めないよう求める市民団体に対し、賛成反対を含めた県民の幅広い意見を聞いた上で最終的に判断すると述べました。そして今後も市民団体との面会については、「タイミングもあるが、できる限り、場は設けたい」と応じる姿勢を見せました。
面会後、「考えを聞けて意義があった」「初めの一歩」と、両者とも面会実現を評価しました。
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知事、反原発団体と面会 「県民の意見幅広く聞く」
佐賀新聞 2015年04月18日
佐賀県の山口祥義知事は17日、反原発を訴える市民団体と就任後初めて県庁で面会した。玄海原発(東松浦郡玄海町)の再稼働を認めないよう求める市民団体に対し、賛成反対を含めた県民の幅広い意見を聞いた上で最終的に判断する考えを説明した。
市民団体は、再稼働反対と意見交換の継続開催の2点の要望と、原発の安全性に対する認識や現在の避難計画の実効性、使用済み核燃料の処理の考え方の3点を文書で質問した。
面会では、市民団体世話人の野中宏樹さんが「知事の第1の職務は県民の命や安全を守ること」とした上で、「今の規制基準や避難計画では安全は守れない。知事が安全というなら自ら説明責任を果たすべき。説明の前に再稼働は認めるべきでない」と指摘した。
山口知事は「県民の意見を幅広く聞くのが私の政治姿勢。原発もいろいろな意見が来ている。判断する際はできる限り多くの情報を基に考えたい」と答えた。
面会は、玄海原発の運転差し止めを求める団体など6団体が1月に合同で要望していた。市民団体によると、古川康前知事にも「直接対話」を求めていたが実現しなかった。
原発の再稼働に関して山口知事は、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認め、住民理解が得られた場合は、容認する考えを示している。
■「初めの一歩」双方評価
県民世論を二分する原発再稼働問題について、容認姿勢を打ち出す佐賀県の山口祥義知事と、反対を訴える六つの市民団体の17日の面会は、終始、冷静な口調で互いの考えを述べ合った。参加者は1団体2人、時間も15分限定。意見交換というレベルではなかったが、「考えを聞けて意義があった」「初めの一歩」と、両者とも面会実現を評価した。
市民団体は古川康前知事にも再三、面会を要請していた。しかし、2007年の住民投票実施を求める署名提出の時に出席した限りで、その後、面会に応じることはなかったという。
山口知事との面会を終えた市民団体世話人の野中宏樹さんは「選挙公約通りに県民の声を聞く姿勢は大変評価している」と話した。ただ、「意見が分かれる問題で15分はあまりにも短い。今日は初めの一歩で、今後も面会を続けてほしい」と求めた。参加した石丸初美さんは「まずは会うことが大切。顔を見て話すことから何事も始まる」と今後の面会に期待した。
一方、山口知事は「かねて幅広く県民の声を聞きたいと思っていたので、意義があった」と述べ、市民団体の質問には文書で回答する意向を示した。再稼働問題では容認する考えをあらためて語った。今後の市民団体との面会は「タイミングもあるが、できる限り、場は設けたい」と応じる姿勢を見せた。