福島原発事故で設定された特定避難勧奨地点を昨年解除したのは不当だとして、南相馬市の住民ら約530人が近く東京地裁に国を提訴します。解除取り消しと国家賠償を求める方針で、避難区域などの指定解除をめぐる訴えは全国で初めてということです。
国は、年間被ばく線量20ミリシーベルトを下回るとして 昨年12月末、住民の反対を押し切って南相馬市の約150世帯を特定避難勧奨地点から一斉に解除し、この3月末には精神的賠償の支払いを打ち切りました。高速道路料金無料化や医療費減免などの措置もなくなります。
とても住める状態でないのに強引に解除したのは経費の節減を意図したのでしょうか。それとも進んでもいない除染がさも進んでいるかのように見せたかったのでしょうか。
いずれにしても住民にとって到底受け入れられる話ではありません。
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「避難勧奨解除は不当」南相馬市民ら国提訴へ
河北新報 2015年4月1日
東京電力福島第1原発事故に伴って設定された特定避難勧奨地点を昨年解除したのは不当だとして、南相馬市の住民ら約530人が近く東京地裁に国を提訴することが31日分かった。解除取り消しと国家賠償を求める方針。
住民側弁護団によると、原発事故による避難区域などの指定解除をめぐる訴えは全国で初めて。
◎「放射線量が高い場所が残っている」
特定避難勧奨地点は原発20キロ圏外の比較的放射線量が高い場所が対象となった。国は2014年12月、「指定基準となる年間被ばく線量20ミリシーベルトを下回る」として南相馬市内の約150世帯を一斉解除している。
原告住民らは「年間20ミリシーベルトの基準では国民の生命を守れない」「解除に当たって住民の合意を求めなかった」などと主張。勧奨地点に指定されていることの地位確認、精神的苦痛に対する1人10万円の慰謝料も求める。
訴訟にも加わる地元対策協議会の菅野秀一会長(74)は「住民意向を無視した対応。放射線量が高い場所が残っており、解除は時期尚早だ」と話す。
勧奨地点は避難区域のような強制性は伴わないものの、同様に慰謝料の支払い対象となった。南相馬以外では、伊達市と福島県川内村の計129世帯も12年12月に解除されている。
国の原子力災害現地対策本部は「訴状を見て判断したい」としている。