独、スイス国境に近いフランス東部にある38年前に建設された国内最古のフッセンハイム原発で、改修したにもかかわらず事故が多発しているため、3カ国の周辺住民と環境団体などが26日、早期の廃炉を求めてデモを行いました。
オランド大統領は16年末までの閉鎖を明言したのですが、代替を予定した建設中の最新鋭原発もトラブル続きで完成が17年まで延びる予定です。
電力不足となれば深刻ですが、危険な原発を運転し続けて良いのかはそれとはまた別問題です。
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フランス:老朽原発、廃炉に暗雲
毎日新聞 2015年04月27日
【フッセンハイム(仏東部)宮川裕章】独、スイス国境に近いフランス東部にある国内最古のフッセンハイム原発で不具合が頻発する一方で、オランド大統領が公約とした廃炉の見通しが立たず、3カ国の周辺住民と環境団体などが26日、早期の廃炉を求めてデモを行った。フランスでは北西部に建設中の最新鋭原発もトラブル続きで完成が遅れており、電力供給の維持と安全確保のはざまで仏政府も頭を悩ませている。
◇新設機、トラブル続き完成遅れ
「原発を閉鎖せよ」。フッセンハイム原発前で、3カ国の住民ら3500人によるシュプレヒコールが続いた。ドイツ選出の欧州議会のレベッカ・ハルムス議員は「福島の教訓を思い出せ。次の世代の安全は我々にかかっている」と訴えた。
同原発は1977年に運転開始。老朽化が進み、運営する仏電力公社が2011年以降に3億ユーロ(約380億円)をかけ近代化工事を行った。だが、昨年12月には密閉弁の不具合が見つかり、今年2月には配管の破損による水漏れ事故で運転を1週間停止するなどトラブルが続出した。五つの地元環境団体は今月22日、不具合を過小評価しているとして電力公社を提訴。既に多額の改修費を支払い、従業員の雇用を守りたい電力公社との間で、存続を巡る議論が続いている。
オランド大統領は12年の大統領選で同原発を任期中に閉鎖することを公約。当選後に16年末までの閉鎖を明言した。また国会で審議中のエネルギー関連法案では、原発による電力の上限を定めるため、北西部フラマンビルに建設中の出力165万キロワットの欧州加圧水型炉(EPR)が完成すると、出力90万キロワットの原子炉2基のフッセンハイム原発は閉鎖が確実に決まる計算だった。
ところがフラマンビルの建設工事でも、部品の落下事故や下請け業者の知識不足による死亡事故などが続出し、完成は12年から17年以降にずれ込む見通しだ。このため野党の右派・国民運動連合を中心に、電力不足を懸念する声が上がり、フッセンハイム原発の存続議論に影響を及ぼす可能性が指摘されている。
フランス最古のフッセンハイム原発の停止を求め、原発前に集まったフランス、ドイツ、スイスの住民、環境団体のメンバーら=フランス東部フッセンハイムで2015年4月26日、宮川裕章撮影