2015年4月18日土曜日

特定避難解除で提訴 南相馬の289人

 日本では一般の人の被曝限度は年間1ミリシーベルト(mSv)と決められています。
 3カ月当たり1.3mSv=年間5mSvを超えるところは、「放射線管理区域」に指定され、被曝についての知識を持ち、自分が過大な被曝をすることを承知している特定の資格者しか入ることが出来ず、その区域内での飲食等も禁じられています。
 
 特定避難勧奨地点の指定解除の基準を年間20mSvとしていますが、それは実に一般人の許容限度の20倍、放射線管理区域の4倍にあたる地域で居住せよということです。
 住めないところに住めというのは理解の埒外というしかありません。
 
 福島県南相馬市の63世帯289人が17日、昨年12月に特定避難勧奨地点の指定を解除したことは不当だとして、国に解除取り消しと解除に伴う慰謝料1人当たり10万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。
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福島原発事故:特定避難解除で提訴 南相馬の289人
毎日新聞 2015年04月17日
 東京電力福島第1原発事故で、局所的に放射線量の高い特定避難勧奨地点の指定を昨年12月に解除したことは不当だとして、福島県南相馬市の63世帯289人が17日、国に解除取り消しと解除に伴う慰謝料1人当たり10万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。住民側の弁護団によると、原発事故に伴う国の避難政策について裁判で争うのは初めて。
 一般人の被ばく限度が年間1ミリシーベルトと法令で定められていることなどから、住民側は「国が特定避難勧奨地点の指定解除の基準を年間20ミリシーベルトとしているのは違法だ」と主張。住民のほとんどが解除後も避難を続けており、避難者支援のためにも指定継続が必要だと訴えている。
 
 特定避難勧奨地点に指定されれば、固定資産税や医療費の自己負担分などが免除され、東電から1人月10万円の精神的賠償が支払われる。南相馬市で同地点に指定されていた場所の周辺住民は、同様の賠償などを求めており、今回、69世帯245人も1人10万円の慰謝料を求め提訴した。
 
 国の原子力災害現地対策本部の担当者は「除染の結果、線量が大幅に低下しており、解除は国際的・科学的知見を踏まえた適切な決定だ」と話した。
 同地点は2011年6月以降、南相馬市、伊達市、川内村の計282世帯で指定され、昨年12月までにすべて解除された。【土江洋範】