2015年4月17日金曜日

高浜原発30キロ圏避難時間、規制委算出は大幅に短め 

 関電高浜原発(福井県)で過酷事故が起きた場合、半径30キロ圏に入る福井県、京都府の住民約18万人の避難が完了するまでに最長16時間かかるとの試算を原子力規制委が初めてまとめたことが15日、分かったと東京新聞が報じました
 
 ところが京都府は2012年度に福井県の高浜、大飯両原発で原子力災害が発生した際、約30キロ圏の全住民避難にかかる時間を最長29時間20分かかると算定し、滋賀県は同じく昨年1月に、原発事故で30キロ圏内に居住する高島、長浜両市民約5万8千人避難が完了するまで最長36時間かかると推計していると、京都新聞が報じました
 
 原子力規制委による避難所要時間の試算は、現地の試算値よりも13時間~20時間も短いものとなっています。
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高浜原発、避難に16時間 半径30キロ圏、規制委算出
東京新聞 2015年4月16日 
 関西電力高浜原発(福井県)で過酷事故が起きた場合、半径30キロ圏に入る福井県、京都府の住民約18万人の避難が完了するまでに最長16時間かかるとの試算を原子力規制委員会が初めてまとめたことが15日、分かった。福井県の試算より4時間50分長かった。福井県と同様、国の参考資料に基づき算出した多くの自治体では避難時間が短くなる傾向があり、実際の避難を想定した条件で試算し直すよう求める声が上がりそうだ。
 
 試算で大きな差が出たのは、福井県の場合、30キロ圏住民の9割しか対象でなく、30キロ圏を出る際の汚染検査を想定していないことなどが原因。 (共同)
 
 
原発事故避難に京都29時間、滋賀36時間 規制委試算甘く
京都新聞 2015年4月16日
 原子力規制委員会が15日までに関西電力高浜原発(福井県)事故での避難完了に最長16時間かかるとの試算をまとめたが、京都府、滋賀県はすでに、対象となる住民が避難する場合に要する時間を独自の方法で試算している。ともに原子力規制委員会のまとめより長い時間を見込んでおり、避難により厳しい見方を示している。
 
 京都府は2012年度に福井県の高浜、大飯両原発で原子力災害が発生した際、約30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)の全住民避難にかかる時間を24通りのケースで試算した。福井県からの避難者の有無や、自家用車での避難の割合などさまざまな条件を想定。スクリーニングの時間も含め最短15時間10分最長29時間20分かかるとしている。
 
 計画は、風向きによって兵庫県や徳島県の一部も避難先としているが、12年度の試算では、府内避難のみを想定した。今回の原子力規制委員会の試算について府は「福井県や滋賀県のシミュレーションを考慮したうえで、府外避難も想定したものと考えられる。今後内容を検証し、避難計画に反映したい」としている。
 
 滋賀県は、原発事故で屋内退避が必要となる県版UPZ(緊急防護措置区域)内に居住する高島、長浜両市民約5万8千人を対象に県南部へ避難が完了するまでのシミュレーション結果を昨年1月に公表した。全員が一斉に動きだす場合、避難完了するまで最長36時間かかると推計している。
 
 推計は2割がマイカーを利用し、8割がバスによるピストン輸送で中継所での除染などを経て移動する前提。
 
 原発に近い地域の住民を優先して2段階に分けて避難すると、渋滞緩和などで移動時間が短縮される効果も確認した。30キロ圏内の住民約1万6千人が第1段階で避難する場合は最長14時間、30キロ以遠の約4万2千人が翌日に第2段階で避難すると同15時間10分で避難を終えるという。現在、段階的避難の具体的な方法を検討している。