2015年4月29日水曜日

経産省の原発発電コスト 欧米を大幅に下回る!?

 経産省は27日、2030年時点の原発の発電コスト1KW時当たり最低10円とする試算を大筋で固めましたこのコストは他の火力発電のコストよりも安くなります。
 ただし公表されたものを見ると、原発のコストだけは何故か「最低」~「最高」表示のうちの最低額のみが表示され、石炭火力、LNG火力は平均表示となっていて、これでは正しい比較とはいえません。
 本当に原発のコストが安いのであるなら、なぜ経産省は電気料金を自由化した際の、原発の高発電コスト分を火力などの電気料金に均して上乗せする原発電気料金保障制度の検討を進めているのでしょうか。どうみてもうさんくさい話です。
 2014年10月9日 経産相 原発事業の税優遇に言及 
 
 もう一つの問題は、このコストは英米の原発発電コストに比べても格段に安いことです。
 英国は、新しい原発をつくる場合の発電コストが16.1/KWH(政府試算)で、米国の発電コスト16.7円/KWH(民間調査機関)と、いずれも日本のコストを大幅に上回っています。
 英国が新しく作る原発は、原子炉の格納容器は耐空爆性を向上させるために二重構造になっている上に、万一原子炉内で炉心が溶融した場合でも地中に落ち込まないように横下方向にそれを受けて冷却できるコアキャッチャーが設けられています。また核燃料の再処理コストも含まれていると思われます。
 それに対して日本のコスト試算は、(中部電力浜岡原発5号機など、震災前につくられた原発と同じ条件で建設するという想定に基いているということです。
 それは新規性基準でもそれが可能であるからに他なりません。新規性基準は現状を追認する基準であって、世界一厳しいどころか、基本的に福島事故以前の仕様を許容する大甘な基準であるということが、ここでも分かります。
 
 東京新聞の記事を紹介します。
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発電費用 欧米を下回る 原発が最安 10・1円
東京新聞 2015年4月28日
 経済産業省は二十七日、原子力発電にかかる費用を二〇三〇年時点で一キロワット時当たり最低一〇・一円とする試算を大筋で固めた。一一年十二月に試算した八・九円に、追加の安全対策費を上積みするなどし13%の上昇となったが、一キロワット時当たり十六円台の欧米の試算を大きく下回った。再生可能エネルギーや火力の発電費用も引き上げたことで、相対的には原発が最も安いという試算になった。
 
 試算はこの日の有識者会合「発電コスト検証ワーキンググループ」に示され、おおむね了承された。経産省は今回の試算を三〇年時点の電源構成を決定する際の根拠にする方針。二十八日には、三〇年に必要な電力の20%程度を原発でまかなう発電比率の案を公表する。
 
 原発に関しては、廃炉に必要な費用の見積もりが一一年の試算に比べ増加。また実現のめどが立たない使用済み核燃料の再利用計画に必要な費用も増えた。一方、追加の安全対策をとったため事故が起きる確率が減ると想定。東京電力福島第一原発と同じような重大事故に備えた費用の積み立てを〇・二円減らした。
 
 英国政府は新しい原発をつくる場合の発電費用について一六・一円(一ポンド=一八〇円換算)、米国の民間調査会社は一六・七円(一ドル=一一九円換算)と試算している。東日本大震災後、原発建設にはさまざまな安全対策が必要になり建設費が跳ね上がることが要因。これに対し日本の経産省の試算は、中部電力浜岡原発5号機など、震災前につくられた原発と同じ条件で建設するという想定のため、建設費は安く算出された。
 
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