東電が福島原発で高濃度の放射性物質を含む雨水が港湾外の海に流出していたにもかかわらずデータを公開しなかった問題で、東電は今後は福島原発の全ての放射線測定値の情報を公開する方針を決めました。
情報がまとまり次第ホームページなどで全て公開し、必要に応じて記者会見などで説明するということです。
そもそも原発はスタートの時点から「安全の確保」と「公開(透明性)」が大原則であったのですが、電力会社は(政府なども)いつのまにか国民に対して都合の悪いことは隠蔽するという形に変わっていました。
あまりにも遅きに失しましたが、今後は放射線測定値についてはキチンと実態を公表するということです。
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第一原発放射線測定値全て公開 汚染雨水流出受け東電が方針
福島民報 2015年3月31日
東京電力福島第一原発で高濃度の放射性物質を含む雨水が港湾外の海に流出していたにもかかわらずデータを公開しなかった問題で、東電は新たな対策として第一原発の全ての放射線測定値の情報を公開する方針を決めた。30日、都内で開かれた東電の原子力改革監視委員会で示した。双葉郡の原発立地町との新たな協議会の設置、社内組織の見直しも掲げた。
東電が示した新たな対策は【表】(コピーできないため不掲載)の通り。放射線測定値は情報がまとまり次第、ホームページなどで全て公開する。測定値に有意な変化があった場合や新たな測定地点を設けた場合は、記者会見などで説明する。公開の透明性が保たれるよう社外からの監視・評価を受ける方針も示した。
東電によると、公開する情報量は現在の2倍を超える見通し。第一原発では水や土壌、粉じんなど年間約7万件を計測し、このうち、敷地周辺の環境などに影響を与える可能性がある約3万件を公開している。今後は対象外となっていた、建屋周辺の作業環境の変化を把握するために計測していた放射線量や、第一原発周辺の海底土や構内の排水路の下にたまった泥の放射性物質濃度なども公開する。
東電は当初、「周辺環境に直接影響を及ぼす水や粉じん」に限って全ての測定値を公にする方針だった。公開の範囲を拡大した理由について、数土文夫会長は委員会終了後の記者会見で「東電に隠蔽(いんぺい)の意図がないことを強調する必要がある」と説明した。
ただ、全測定値の公開時期については、システムの変更などを理由に明確にしていない。広瀬直己社長は会見で、「早急に見通しを立てて示したい。データを出すのみにならないようにする」との意向を示した。
データ公開と併せ、平成15年に設立した県原子力発電所所在町情報会議を基盤に、原発立地町との新たな意見交換の場を早急に設ける。地元の意向を詳細に把握し、廃炉に向けた対応に反映させる狙いもある。廃炉推進カンパニーで情報発信を担当するリスクコミュニケーターを統括する役職を設置し、監視・提言機能も強化する。
東電は2月下旬、2号機原子炉建屋の屋上の一部にたまった高濃度の放射性物質を含む雨水が「K排水路」と呼ばれる排水路を通じて港湾外の海に流出していたと発表した。昨年4月以降、排水路の出口付近で定期的に放射性物質濃度を測定し、8月採取の水から法定基準を超える値が検出されたが、公表していなかった。