原子力規制委は13日の定例会合で、高速増殖原型炉「もんじゅ」の運営主体である日本原研開発機構は「不適当」とし、新たな運営組織を見つけるよう馳文科相に求める勧告をまとめました。
文科省が半年以内に適切な運営主体を示せない場合、もんじゅのあり方を抜本的に見直すことを求めることになります。
規制委の田中委員長が勧告の文書を文科相に手渡しして説明しようとしたのを忌避して、馳氏は代わりに研究開発局長を差し向けようとしましたが、最終的には13日、直かに受け取りました。
規制委の田中委員長が勧告の文書を文科相に手渡しして説明しようとしたのを忌避して、馳氏は代わりに研究開発局長を差し向けようとしましたが、最終的には13日、直かに受け取りました。
註.日本原研開発機構が運営するもんじゅは、核分裂で発生した熱を液体ナトリウムで取り出す方式ですが、ナトリウムは空気や水に触れると爆発するので極めて危険な装置で、それだけに高度な技術と完璧な管理が求められています。
もんじゅは完成後1年未満の95年にナトリウム漏れ事故を起こして現在も休止中です。
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原子力規制委:もんじゅ運営「不適当」 文科相に勧告決定
毎日新聞 2015年11月13日
原子力規制委員会は13日午後の定例会合で、安全管理上のミスが相次ぐ高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)について、運営主体の日本原子力研究開発機構は「不適当」とし、新たな運営組織を見つけるよう馳浩文部科学相に求める勧告をまとめた。同日午後に、規制委の田中俊一委員長が勧告の文書を馳文科相に提出する。半年以内に適切な運営主体を示せない場合、もんじゅのあり方を抜本的に見直すことも求める。
もんじゅは通常の原発より特殊な技術が必要で、原子力機構に代わる新組織を見つけるのは難しく、もんじゅを中核とした国の核燃料サイクル政策は大きな岐路を迎える。馳文科相は13日の閣議後会見で「国のエネルギー政策の根幹であり、関係閣僚と連携して取り組む」と述べた。
勧告は規制委設置法に基づく。強制力はないものの、原子力施設の安全が確保されない場合は改善を求めることができる。こうした勧告権の行使は2012年9月の規制委発足以来、初めて。勧告の文書で、規制委は原子力機構について「もんじゅの運転を安全に行う主体として必要な資質を有していない」と指摘した。
もんじゅは12年に、機器全体の2割に当たる約1万件で点検漏れが発覚。規制委は13年に原子炉等規制法に基づく運転禁止命令を出し、原子力機構に管理体制の見直しを求めたが、その後も新たな点検漏れや機器の安全重要度分類のミスなどが次々と発覚するなど改善されなかったため、初の勧告に踏み切った。もんじゅは過去に約1兆円、年間約200億円の国費が投入されたが稼働実績はほとんどない。【鳥井真平】
もんじゅ運営主体変更勧告、文科相が直接受け取り拒否
産経新聞 2015年11月13日
安全上の不備が続く日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、原子力規制委員会は、所管する馳浩文部科学相に対し、13日に直接面会して変更主体を求める勧告文を渡すことを打診したが、文科相側が拒否したことが12日、分かった。原子力規制庁が明らかにした。代わりに文科省の局長が受け取る。
規制庁によると、13日の規制委の定例会で勧告の文言を決定した後、規制委の田中俊一委員長が直接、馳文科相に手渡すことを打診。文科相側が、同日は都合が悪いことを告げたため、規制庁が「翌週でも時間があるときに」と面会を要請したが、「研究開発局長がそちらに出向く」と回答し、直接の受け取りを拒否した。副大臣や政務官との面会も断られたという。
勧告権の行使は、平成24年9月の規制委発足以来初めてのことで、名宛人は「主務官庁の長」である文科相になる。田中委員長は馳文科相に直接会って、趣旨を説明することで、「本気の改革」(規制庁幹部)を求める意向だった。
勧告は、原子力機構がもんじゅの運営主体としてふさわしくないと判断。文科相に対し、半年をめどに別の運営主体を明示できなければ、廃炉を含めて在り方を見直すよう要請する。