2015年11月9日月曜日

「原発周辺自ら将来像を」 米で廃棄物除去経験の研究者

 福島民友が7日米エネルギー省国立研究所研究としてハンフォード核施設で放射性廃棄物除去に携わった大西康夫氏インタビューをしました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「原発周辺自ら将来像を」大西康夫氏に聞く
    ー廃棄物除去の経験持つ米研究者
福島民友 2015年11月08日  
 米エネルギー省パシフィックノースウエスト国立研究所の研究者として、ハンフォード核施設(米ワシントン州)で放射性廃棄物除去に携わり、現在はワシントン州立大非常勤教授や国際原子力機関(IAEA)の環境アドバイザーなどを務める大西康夫氏は7日、福島民友新聞社のインタビューに応じた。冷戦時に軍事用プルトニウムの精製などが行われ周辺汚染が深刻化したが、現在では多様な産業が発展している同施設周辺地域を念頭に、「自ら福島第1原発周辺地域の将来像を描き、実現に必要な費用を政府に出させるくらいの主体的取り組みが、地元福島の人に必要だ」と意見を述べた。
 
 本県の現状をどう見るか。原発事故に伴う風評被害も根強く残っている。
 「福島は帰還困難区域など一部を除いて放射線量はかなり低い。現状を正しく認識してもらうためのリスクコミュニケーションが求められるが、これは科学的事実を示すだけでは十分ではなく、住民の感情を考慮する必要がある。米国では、放射線や汚染をめぐる対策の意思決定に地域住民に加わってもらい住民の納得を得る仕組みを作っている」
 
 ハンフォードの事例から福島が学べることは。
 「巨額の費用を掛けて除染して放射線量が下がっても、仕事がなければ人は集まらない。ハンフォードでは除染関係で政府からお金が出ている間に他の分野の産業を創出しようという動きが出た。例えば地元の民間組織『トライデック』は新しい産業を検討し、実現のために必要な費用を政府に請求していった。政府ではないので、地元からの信頼性も高い。ハンフォードは今では、従業員4500人を抱える研究所や全米最高品質のワイン製造など、過去には考えられなかった成功を遂げた」
 
 県民にメッセージを。
 「トライデックはもともと、『このままではどうしようもない』と考えた地元のバーの所有者など3人で設立した組織。福島の若い人には特に、自分の運命は自分で決めてほしい、とメッセージを送りたい」
 

「地元自らが将来像を描く主体的取り組みが必要だ」と話す大西氏