河北新報 2015年11月17日
日本原燃は16日、青森県六ケ所村に建設中の使用済み核燃料再処理工場の完工時期を、見込んでいた2016年3月から18年度上期に2年~2年半程度延期したと明らかにした。
同村のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料工場については、17年10月としていた完工時期を1年半~2年程度延期し、19年度上期に変更した。各事業変更許可申請書の一部補正を同日、原子力規制委員会に提出した。
再処理工場の完工時期の延期は「時期未定」としたケースを含め23回目、MOX燃料工場が5回目。
再処理工場については、新規制基準に適合するための安全性向上に向けた施設整備の中で、主要な工事は今後、2年半程度かかると判断。工期短縮の取り組みや審査や認可の手続きにかかる期間も考慮し、完工の目標時期を見直した。
主な工事として、免震構造の緊急時対策所(約200人規模)と、重大事故時に高レベル廃液を冷却するために必要な貯水槽(約2万立方メートル)を、新規制基準をにらんで従来の2倍の規模で新たに建設する。耐震性を高めるため、両施設とも地下に岩着させる。
建設が初期段階にあるMOX燃料工場については、MOXを粉末の状態で扱う箱形設備「グローブボックス」の耐震クラスを最上級に引き上げたり、火災防護対策を強化したりするための追加工事が必要と結論付けた。さらに3年半程度の期間を要すると見込んだ。
16日、同社幹部が青森県庁と六ケ所村をそれぞれ訪れ、変更内容を説明した。県庁で工藤健二社長は「安全を第一に工事を進め、一日も早い完工に向け全社を挙げて取り組んでいく」と表明。応対した青山祐治副知事は「原子力施設は安全性が第一義。しっかりと安全性を確保してもらいたい」と話した。