米原子力空母などで事故が起きた際の住民の避難の基準を見直す有識者会議が開かれ、避難の基準値をこれまでの基地の境界付近で1時間当たり100マイクロシーベルト以上を、1時間当たり5マイクロシーベルト以上に変更する案が事務局から示されました。
避難対象範囲は、当面は従来どおり、空母などから1キロ圏内は避難、3キロ圏内は屋内待避とするものの、引き続き検討することになりました。
会議は非公開(内閣府の担当者が会議終了後議論について説明)で、次回は12月11日で、横須賀市など原子力艦が寄港する基地がある自治体からのヒアリングを実施する予定です。
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原子力艦事故の避難基準 原発事故と同じに
NHK NEWS WEB 2015年11月6日
アメリカ軍の原子力空母などで事故が起きた際の住民の避難の基準を見直す、政府の有識者会議が開かれ、福島第一原発の事故のあとに大幅に引き下げられた原子力発電所の基準と同じ放射線量が検出されれば、避難などを行うよう改定することになりました。
福島第一原発の事故のあと、国の原子力防災の指針が見直され、住民の避難や屋内待避の基準は、原発の事故では敷地境界で1時間当たり5マイクロシーベルト以上の放射線量が検出された場合と、値が大幅に引き下げられました。
一方、神奈川県横須賀市や長崎県佐世保市などにある国内の基地に入るアメリカ軍の原子力空母や原子力潜水艦の基準は、基地の境界付近で1時間当たり100マイクロシーベルト以上のままになっていました。
これについて、放射線の専門家や関係省庁の担当者が出席した、6日の会議で、基準となる放射線量の値について、1時間当たり5マイクロシーベルト以上と、原発と同じ値とする案が事務局から示されました。
出席者から異論は出ず、放射線量の基準の値は原発並みとすることになり、今月中にも正式に改定される見通しです。
一方、対象の範囲は、当面は従来どおり、空母などから1キロ圏内は避難、3キロ圏内は屋内待避とするものの、引き続き検討することになりました。
原子力艦事故 政府の作業委 避難範囲見直し議論へ
東京新聞 2015年11月7日
原子力艦で事故が起きた場合の対応を定めた原子力災害対策マニュアルを検証する政府の作業委員会で、横須賀市などが求めてきた避難判断基準の見直しが決まった。作業委は今後、避難範囲の見直しや、マニュアルの中に原子力艦を運用する米国の位置付けを明確にすることなども議論する。 (加藤寛太)
東京で開かれた六日の作業委初会合では、避難判断基準の改訂に合わせ、通報基準も原子力発電所の指針に合わせることが確認された。
通報基準は、基地境界線付近の放射線量をモニタリングしている原子力規制庁が関係省庁に通報する際の放射線量の基準。これまでは一地点で十分以上、または二地点で五マイクロシーベルトを検出した場合としていたのを、瞬間的にでも五マイクロシーベルトを検出した場合と改訂する。
また、原発指針は放射線が放出される前でも緊急事態が発生した場合、事業者が政府に通報することとしているが、原子力艦マニュアルは通報すべき主体について具体的に言及していない。作業委では、主体を米国と明確にすることを前提に議論する。
一方、避難範囲は現在、原発指針が半径五キロを即時避難としているのに対し、原子力艦マニュアルは、空母の場合で半径一キロ以内は避難、半径一~三キロは屋内退避と定めている。今後、作業委で見直しが必要か検証する。
会議は非公開で、内閣府の担当者が会議終了後、議論について説明した。次回は十二月十一日で、横須賀市など原子力艦が寄港する基地がある自治体からのヒアリングを実施する予定。