避難指示解除準備区域に指定されている福島県川内村東部で1日、避難指示解除を判断するための準備宿泊が始まりましたが、対象者19世帯・53人に対して準備宿泊申請は1世帯2人にとどまりました。
このまま避難指示が解除されても住民帰還が進むかは不透明です。
住宅周辺の空間線量は毎時0.3~0.9マイクロシーベルト(2.6~7.9ミリシーベルト・年)で、とても住める環境ではありません。
遠藤雄幸村長は「準備宿泊の先には解除がある。住民が選べる選択肢を増やすためにも準備宿泊で課題を明確にしていきたい」と語りました。
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川内で「準備宿泊」始まる 申請1世帯のみ、帰還不透明
福島民友 2015年11月02日
東京電力福島第1原発事故に伴い避難指示解除準備区域に指定されている川内村東部で1日、避難指示解除を判断するための準備宿泊が始まった。村によると準備宿泊申請は1世帯2人にとどまり、このまま避難指示が解除されても住民帰還が進むかは不透明な状況だ。
準備宿泊が始まった同村東部の荻、貝ノ坂両地区は、昨年10月に居住制限区域から避難指示解除準備区域に再編された。1日現在の対象世帯数は19世帯53人で、この日は双葉署と村の防犯パトロール隊が合同で地区の見守り活動を行ったが、準備宿泊で自宅に戻った住民の姿は少なく、署員らは人けのない避難者宅を訪問しながら、施錠の状況などを確認した。
「家に戻って、安心して眠れるだろうか」。村内の復興公営住宅で暮らす関根マキ子さん(80)は、避難区域にある自宅での準備宿泊は申し込まなかった。10月に自宅の追加除染が終わったが、自分で自宅周辺の空間線量を測ったところ毎時0.3~0.9マイクロシーベルトだった。公営住宅に比べると放射線量が高く、畳やふすまも長期避難で傷んだまま。自宅には夫の汎(ひろし)さん(87)と毎週戻っているが「線量だけじゃなく家を直すのにも時間がかかる。すぐに戻れる状況ではない」と不安を抱える。
同地区は買い物などの生活圏を、隣接する富岡、大熊の両町に頼っていたが、原発事故で両町は全町避難が続く。放射線不安が根強いほか、積雪への心配も準備宿泊を思いとどまらせる要因の一つだ。
政府は住民の意見を聞きながら避難指示の解除を判断する方針。この日取材に応じた遠藤雄幸村長は「準備宿泊の先には解除がある。住民が選べる選択肢を増やすためにも準備宿泊で課題を明確にしていきたい」と語った。
準備宿泊は来年1月末までの3カ月間行われる。