資源エネルギー庁が31日、水戸市で行った高レベル放射性廃棄物の最終処分地候補地選定についての自治体向け説明会では、参加した自治体の担当者約40人からの質問はまったくありませんでした。
エネ庁側は「基本的に皆さんの理解を得られたと認識している」とコメントしたということですが、そうではなくて「核のごみの最終処分に対する自治体側の慎重な姿勢」の反映だとする東京新聞の理解が当たっていると思われます。
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「核のごみ」候補地 資源エネ庁説明会 自治体から質問なし(茨城)
東京新聞 2016年6月1日
原発の運転で発生する高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のごみの最終処分地候補地選定を巡り、経済産業省資源エネルギー庁は三十一日、県内自治体向けの説明会を水戸市内で開いた。国の担当者は核のごみの処分方法や、最終処分地として地理的適性の高い「科学的有望地」の選び方について説明した。四十四市町村の七割ほどの自治体の担当者約四十人が参加したものの、質疑はまったくなく、核のごみの最終処分に対する自治体側の慎重な姿勢がうかがえた。 (山下葉月)
核のごみは、使用済み燃料からプルトニウムとウランを取り出した後に残る約5%の廃液。きわめて放射能が強く、人体に害を与えるため再利用できず、隔離して処分しなければならない。
エネ庁によると、使用済み燃料は国内に一万八千トン存在しており、青森県六ケ所村の再処理工場に三千トン、全国の原発内に計一万五千トンが保管されている。国は、廃液をガラスで固め、地下三百メートルを超す深さまで埋めて処分する方針で、十二月末までに、複数の科学的有望地を地図で色分けして示す予定。
各自治体への説明会は昨年から開いており、今年で二回目。エネ庁の担当者が、科学的有望地の判断基準として、火山から半径十五キロ内や活断層の近くなどは適さないことを説明。「科学的有望地の提示と自治体への調査受け入れのお願いは全く別」と強調した。別の担当者によると、科学的有望地を選定した後、住民への説明を開始し、十分に理解を得てから、市町村に処分地選定の調査を申し込むという。
当初、説明と質疑に、それぞれ一時間ずつ当て、説明会は計二時間を予定していたが、自治体側の出席者から質問はなく、一時間で終了した。
説明会終了後、取材に応じたエネ庁原子力立地・核燃料サイクル産業課の神宮勉核燃料サイクル産業立地対策室長は、「基本的に皆さんの理解を得られたと認識している」とコメント。県内の科学的有望地の検討状況については「現段階で個別の地域を検討しているわけではない」と述べた。