地震学者で原子力規制委の委員長代理を務めた島崎邦彦氏が時事通信のインタビューに応じ、「原発の基準地震動を策定する際に多く用いられている”入倉・三宅式”(予測式)を垂直や垂直に近い断層面を持つ活断層に適用すると、震源の大きさが過小になり、基準地震動も小さく評価される傾向がある」、「熊本地震のデーターから”入倉・三宅式”では再現できないことが明確になった」、「対象となる活断層は西日本に多く、関電高浜原発や大飯原発、九電玄海原発などの基準地震動も”実態に即した別の予測式”で見直すことが必要」と述べました。
原子力規制委や電力会社は基準地震動の算定根拠について専門家から根本的な批判をされることを最も嫌がる筈なので、今後の裁判などにどのように影響するのか注目されます。
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原発審査「見直し必要」高浜など、過小評価の恐れ 元規制委・島崎氏
時事通信 2016年06月11日
原子力規制委員会で委員長代理を務めた島崎邦彦氏が時事通信のインタビューに応じ、原発再稼働の前提となる規制委の審査で、想定する地震の揺れ(基準地震動)が過小評価されている恐れがあるとして「見直しが必要だ」と述べた。4月に起きた熊本地震を調べ、現在審査で認められている手法の問題点を確信したという。
地震学者の島崎氏は2014年9月に退任するまで、規制委で地震や津波の審査を担当していた。元委員が見直しの必要性を明言したことで、原発の審査手法に焦点が当たりそうだ。
審査では原発の基準地震動を策定する際、震源の大きさを推定する予測式に「入倉・三宅式」が使われることが多い。島崎氏はこの予測式を垂直や垂直に近い断層面を持つ活断層に適用すると、震源の大きさが過小になり、基準地震動も小さく評価される傾向があると指摘した。
対象となる活断層は西日本に多いという。関西電力高浜原発(福井県)や大飯原発(同)、九州電力玄海原発(佐賀県)などの基準地震動も「実態に即した別の予測式で見直すことが必要」と述べた。
高浜原発は3、4号機が規制委の審査に合格。1、2号機も近く原則40年の運転期間の延長が認められる見通し。
島崎氏は規制委員を退任後、入倉・三宅式による過小評価の恐れについて調査、研究を続けてきた。その上で「熊本地震で精度の高いデータが得られ、入倉・三宅式では再現できないことが明確になった」と説明。現在の原発審査について「今のやり方のままで良いと言った瞬間、うそになる。問題があるという認識を持たないといけない」と述べた。
入倉・三宅式の使用は「危険極まりない」と強調。熊本地震など大地震のデータも加味して予測式を作成すべきだとの考えを示した。