福島原発事故を独自に検証してきた日本学術会議委員会は、その結果を24日にもまとめることが分かりました。
その中で、1~3号機ともベント(放射性物質を含む水蒸気を放出し圧力を下げる操作)がスムーズに行われなかったことについて、背景に「放射性物質の大量放出に至るような事故はありえない」という「原子力関係者全員の慢心と想像力の欠如」があり、ベントの設備が「多くの設計上の課題を抱えていた」 ことがあったと分析しているということです。
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「慢心と想像力の欠如」 日本学術会議が原発事故を批判
NHK NEWS WEB 2016年6月24日
東京電力福島第一原子力発電所の事故を検証してきた日本学術会議の委員会は、ベントという操作が難航し、事故の悪化を食い止められなかったとしたうえで、設計上の課題などの背景に「慢心と想像力の欠如」があると指摘する内容の検証結果を24日にもまとめることが分かりました。
ベントは、原発事故が起きた際、放射性物質を封じ込める格納容器と呼ばれる設備が破損するのを防ぐため、放射性物質を含む水蒸気を放出して内部の圧力を下げる操作です。
しかし、福島第一原発の事故では操作が難航し、1号機と3号機では、ベントが実施できたときにはすでに核燃料が溶け落ちていたほか、2号機ではベントができず、最終的に放射性物質の大量放出に至りました。
この問題について、国内の科学者でつくる日本学術会議の委員会が独自の検証結果を24日にもまとめることが分かりました。この中では、アメリカでは事故の悪化を防ぐため早い段階でベントを行うとしているのに対し、日本では圧力が一定以上に達するまでベントを行わないという考え方の違いを指摘しています。その背景として、「放射性物質の大量放出に至るような事故はありえない」という「原子力関係者全員の慢心と想像力の欠如」があり、ベントの設備が「多くの設計上の課題を抱えていた」としています。そのうえで、「真摯(しんし)に対応していれば、放射性物質による汚染も軽度で済んだ可能性がある」と指摘する方針です。
この委員会では、福島第一原発の津波対策の問題点についても検証を進め、今年度中にも結果をまとめたいとしています。