東京新聞 2016年6月24日
四国電力は二十四日午前、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の原子炉への核燃料装填(そうてん)を始めた。作業が順調に進めば七月二十六日に原子炉を起動して再稼働させ、同二十九日に発電と送電を開始する予定。四国電は八月中旬の営業運転を目指している。伊方原発の近くには中央構造線断層帯が通っており、熊本地震の影響を懸念する声がある。
再稼働すると、新規制基準のもとでは九州電力川内(せんだい)1、2号機(鹿児島県)、関西電力高浜3、4号機(福井県)に続き五基目(高浜は司法判断で運転差し止め中)。高浜と同様、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料によるプルサーマル発電を行う計画で、高浜が停止したままなら国内唯一のプルサーマル実施となる。
四国電によると、百五十七体の燃料集合体(うちMOX燃料は十六体)を一日約四十体のペースで装填し六月二十七日にも完了する。燃料集合体は使用済み燃料プールに保管されており、クレーンを使うなどして原子炉容器まで移動する。一体目は二十四日午前九時二十八分に装填した。
伊方3号機は二〇一一年四月に定期検査で停止した。四国電は一三年七月に原子力規制委員会に審査を申請し、昨年七月に適合した。同十月、伊方町の山下和彦町長、愛媛県の中村時広知事が再稼働に同意。今年四月に再稼働に向けた最終的な手続きとなる使用前検査が始まった。
<伊方原発> 愛媛県伊方町に立地する四国電力の加圧水型軽水炉で、1~3号機の計3基ある。1977年に運転を開始した1号機は、多額の安全対策費がかかるなどとして四国電が今年5月に廃炉とした。82年に運転を始めた2号機は現在、定期検査中。3号機は94年に運転を始めた。半径30キロ圏には山口県の一部が含まれ、豊後水道を挟んで対岸の大分県は重大事故時の伊方町民の避難先となっている。