福島民友 2016年6月10日
政府は9日、本県沖で漁獲されたヒラメとマアナゴについて、東京電力福島第1原発事故の影響に伴う出荷停止指示を解除した。市場への流通が可能になる。震災前「常磐もの」として高値で取引された本県産ヒラメは、県漁連や県の協議を経て、早ければ9月にも水揚げされて市場に流通する見通し。
ヒラメとマアナゴの解除により、本県沖で漁獲される魚介類の出荷停止対象魚種は26魚種となった。
県産ヒラメは放射性物質検査で国の食品基準値(1キロ当たり100ベクレル)を安定して下回っており、政府と県の協議で「基準値を超えるケースはない」と判断された。ヒラメ漁の再開に向けては今後、試験操業の対象魚種に追加するため、相双、いわき両地区の試験操業検討委員会や組合長会議などで操業期間や流通態勢、風評対策などを協議する。県漁連の野崎哲会長は「ヒラメは本県で水揚げされる魚種の中でも3番目の漁獲高を誇る魚種。試験操業自体も大きく前進するだろう」と述べた。
2010(平成22)年の本県のヒラメの漁獲量は734トンで全国3位を誇った。震災前は「常磐もの」として東京都中央卸売市場でも高値で取引される本県の主力魚種だったが、12年6月に出荷停止となった。
県によると、14年3月10日~今年5月23日、検査のため漁獲されたヒラメ1078検体は全て基準値を下回った。セシウムの濃度は年々低くなっており、同期間の最大値は1キロ当たり87ベクレル、平均値は同9・7ベクレル。
県は、出荷停止解除後に再び基準値を超える検体が出ないよう慎重に検査を重ね、政府と解除に向けた検討を進めていた。
県は放射性物質濃度が下がった理由について、セシウム134が、放射線を出す力が半分になる半減期の2年を過ぎて減少したことに加え、福島第1原発の汚染水対策で海水の水質が改善、エサからの吸収が減ったことなどを挙げている。