チェルノブイリ原発事故は、福島原発事故の25年前に起きました。そしてその5年後の1991年にロシアで「チェルノブイリ法」が定められました。「避難の権利」を確立した法律です。
同法では、年間被曝量が5ミリシーベルト以上になる区域を「移住義務ゾーン」、1ミリシーベルト以上5ミリシーベルト未満の区域を「移住権利ゾーン」と定め、被災者は支援を得て汚染地域で暮らすのか非汚染地域へ移住するかを選ぶことができます。どちらの人も、国家の負担による健康診断や薬剤の無償提供、年金の割り増しなどの社会的な保護を受けられます。避難(移住)を選んだ場合は、国は住民が失うことになる家屋などの財産について、現物または金銭での補償をすることになっています※。
チェルノブイリ事故の25年後に原発事故を起こした日本ではどうでしょうか。
何と年間被曝量が20ミリシーベルト以下であれば問題なく居住できるとして、来年3月にはほとんどすべての避難指示地域等を解除して住民を帰還させようとしています。避難に対する国・東電の慰謝料や諸手当も中止になります。
国は年間被曝量20ミリシーベルト以下の地域から避難した人たちを「勝手に避難した人たち」(原子力規制委員長 田中俊一)として差別し、その人たちには「住宅手当」しか払っていませんが、それらも勿論中止されます。
日本には「避難の権利」がありません。
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福島第1原発事故「幅広い支援が必要」避難者、
山形で相談・交流会
毎日新聞 2016年6月19日
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故による山形への避難者を対象とした相談・交流会が18日、山形市平久保の山形ビッグウイングであった。来年3月末で自主避難者向けの民間借り上げ住宅(みなし仮設)の無償提供を打ち切る福島県の担当職員は、独自の補助制度を説明した。参加者からは「弱者を切り捨てる制度のように感じる」「説明が足りず、安心して帰れない」などの意見が相次いだ。
福島からの避難者を中心に約130人が参加した。福島県の職員は、帰還時に県外からの移転費用の一部(最大10万円)や、民間賃貸住宅を借りた場合は2年間、家賃の一部(月最大3万円)などの補助制度を説明した。山形県は定住支援情報を紹介した。
終了後、福島市から山形市に避難している会社員の女性(42)は「福島の家のローンが残っているが、補助の対象にならず二重生活が厳しい」と話した。福島県南相馬市から天童市に避難している無職の女性(62)は年内に戻る予定というが、「家のリフォーム代など生活は厳しい。戻る準備で福島と山形の往復は体力面でも大変」と心境を述べた。
福島県避難者支援課の松本雅昭課長は「避難されている方は一人一人異なる事情で苦労されている。さまざまな支援策で幅広く対応したい」と話した。また、「山形では行政だけでなく民間の組織と協力して避難者の相談に乗っている。各家庭の悩みを丁寧に聞いていく」と述べた。【藤井達也】