2017年11月24日金曜日

被害者が生業を再建できるまで補償を 原発再稼働は論外 山下芳生議員

 22日の参院本会議で山下芳生議員(共産)が、自主避難者への住宅提供を今年3月末で打ちきり、精神的苦痛への賠償は来年3月末で終了するのは許されないとし、すべての被害者が生活と生業を再建できるまで国と東京電力が責任をもつべきであると述べました。
 また日本は約2年にわたって「稼働原発ゼロ」を経験し原発ゼロでやっていけることが証明されているので、ただちに「原発ゼロ」の政治決断を行い、再稼働を中止すべきだと政府の見解を質しました。

 それに対して安倍首相は「原発ゼロは責任ある政策と言えない」、「再稼働を進める」と答えました。

 信濃毎日新聞の社説「東海第2原発 経営優先の延長でいいか」を併せて紹介します。

  お知らせ
都合により25日、26日は記事の更新ができません。27日は午後更新します。
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国民の怒り突きつけ暴走ただす
再稼働は論外 原発ゼロ迫る 山下副委員長が代表質問 参院本会議
しんぶん赤旗 2017年11月23日
 日本共産党の山下芳生副委員長は22日の参院本会議での代表質問で、「森友・加計疑惑」や原発、働き方、憲法などで安倍晋三首相の姿勢をただしました。衆院の質疑から、まともに根拠を示さず「ご指摘はあたらない」と“逃げ答弁”を繰り返す安倍首相。山下氏は、動かしがたい事実、国民の怒りの声を突きつけ、暴走政治の転換を求めました。

(質問全文より原発関係を抜粋
原発問題―世論に背き被害者を愚弄する再稼働に未来はない
 東京電力・福島第1原発事故から6年8カ月。総理は、所信表明で、福島では「帰還困難区域を除き、ほぼ全ての避難指示が解除された」と述べました。また、今年3月、避難指示の解除を決めた際には「本格的な復興のステージを迎える」と述べました。

 しかし、福島の現実は、避難指示解除が「本格的な復興」に直結するような状況ではありません。医療・介護をはじめ、除染、住宅の整備、雇用など、まさに課題山積です。そもそも原発事故は収束していない。だからこそ、いまだに6万8千人の方が、故郷や元居た場所に「帰れない」あるいは「帰らない」という事になっているんではないでしょうか。総理にこの認識はありますか。

 しかも、安倍政権は、自主避難者への住宅提供を今年3月末で打ちきり、精神的苦痛への賠償は来年3月末で終了するとしています。絶対に許されません。「復興加速」の看板のもとに、被害者切り捨てをすすめる安倍政権こそ、復興の最大の障害だといわなければなりません。すべての被害者が生活と生業(なりわい)を再建できるまで、国と東京電力が責任をもつことは当たり前ではありませんか。総理の認識を伺います。

 政府の「長期エネルギー需給見通し」では、2030年度の電力に占める原発の割合を20~22%にするとしています。全国で約30基もの原発を再稼働することになります。
 しかし、これは国民の世論に真っ向から反するものです。どの世論調査でも、再稼働に「反対」が「賛成」の約2倍となっています。

 他方、財界は原発の再稼働を強く求め、原発事故を起こした東電の柏崎刈羽原発まで再稼働しようとしています。政府も「稼ぐことが福島事業への貢献」などとして、柏崎刈羽を再稼働させようとしていますが、福島を口実に再稼働を正当化するなど言語道断、被害者を愚弄(ぐろう)するものです。

 再稼働にひた走る道に未来はありません。原発事故後、約2年にわたって「稼働原発ゼロ」となり、日本社会が原発ゼロでやっていけることも証明されています。ただちに「原発ゼロ」の政治決断を行い、再稼働を中止し、再生可能エネルギーの本格的普及へと道を切り替えるべきではありませんか。

 政府は福島原発事故の自主避難者への住宅提供の打ち切りに加え、精神的苦痛への賠償を来年3月末で終了させようとしています。山下氏は「被害者切り捨てを進める安倍政権こそ、復興の最大の障害だ」と厳しく批判。原発再稼働は、どの世論調査でも「反対」が「賛成」の約2倍にのぼるとして、原発事故を起こした東京電力が狙う柏崎刈羽原発の再稼働は論外だと断じ、「原発ゼロ」の政治決断を迫りました。安倍首相は「原発ゼロは責任ある政策と言えない」と民意に逆らい、「再稼働を進める」と述べました。
(後 略)


東海第2原発 経営優先の延長でいいか
信濃毎日新聞 2017年11月23日
 日本原子力発電が東海第2原発(茨城県東海村)の運転期間延長を、原子力規制委員会に申請することを明らかにした。来年11月に運転開始から40年になるため、規定を超える運転を求めるという。
 関東圏にある唯一の原発である。避難計画策定が必要な半径30キロ圏内の人口は、全国最多の96万人に及ぶ。事故時に素早く避難させられるのか疑問だ。
 計画策定は難航している。県は2015年3月にまとめた計画で、52万人を県外に避難させる方針を示した。避難先の自治体との調整は進まず、受け入れ施設の大半を決められないままだ。残り約44万人は県内の自治体に避難するという。机上の空論にすぎない。

 地元の不安も大きい。東海村は、周辺5市も再稼働の判断に関与できるように、原電に安全協定の見直しを要求している
 同意を求められるのは通常、立地自治体と県のみだ。多くの立地自治体は再稼働のハードルが上がるとして、対象を広げることに反対している。再稼働で経済的恩恵がもたらされるためだ。
 異例の要求をしたのは、30キロ圏内の人口の多さを考慮すると「村と県だけでは責任を負えない」からだ。納得できる理由だ。

 原電は難色を示し、協議は進んでいない。再稼働を円滑に進める狙いがあるのだろう。経営優先の姿勢を改めなければならない。
 原発で作った電気を電力大手に卸してきた原電は、福島事故後に厳しい経営環境が続いている。
 所有する3基のうち、敦賀1号機は廃炉が決まり、同2号機は原子炉建屋直下に活断層があると指摘されて、再稼働の見通しは立っていない。大手電力が支払う基本料金のみが現在の収益源だ。

 だからといって、残る東海第2原発の再稼働を、問題を抱えたまま進めるのは無理がある。
 しかも、1978年運転開始の東海第2は福島第1と同じ沸騰水型だ。格納容器が小さく、冷却機能が失われると内部の温度や圧力が上がりやすい欠点がある。同タイプの運転延長申請は初となる。
 原発の運転期間が原則40年とされたのは、老朽化でトラブルが増える懸念があるからだ。運転延長は特例でなければならない。それなのにこれまで3機の延長が認められた。今回の申請が容認されると、原則はさらに形骸化する。

 リスクが大きく、事故時に影響を受ける人口が最多の原発を、40年を超えて運転する意味があるのか。極めて慎重な審査が必要だ。