2017年11月23日木曜日

「質問時間割合」変更主張の石崎議員は原発テロ対策では「職務怠慢」

 ジャーナリストの横田一氏が、「質問時間割合変更問題」を自民党の国対に申し入れた新潟1区の石崎とおる衆院議員について、原発立地県である新潟県選出の石崎氏が真っ先にすべき仕事は、質問時間変更提案ではなく、原発テロ対策強化(自衛隊がすぐに原発防護を出動できる法整備など)なのではないかとする辛口の指摘をしました。
 与党議員は法案提出前に自民党部会で役人を呼んで議論をすることができのだから質問時間の獲得要求をするのではなく、まず自民党の部会で原発テロ対策問題を取り上げるべきであるというものです。
 
 ハーバードビジネスオンラインの記事を紹介します。
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「質問時間割合変更」問題に火をつけた石崎衆院議員、
原発テロ対策では”職務怠慢”
横田一 ハーバービジネスオンライン 2017年11月22日
(ジャーナリスト)                 
 総選挙後に急浮上した衆議院での「質問時間割合変更問題」は、現在でも与野党で平行線の激論が続いている。加計疑惑の論戦が繰り広げられた11月15日の衆院文部科学委員会では、いったん「与党1対野党2」で決着したが、通常国会のハイライトである「予算委員会」など今後の時間配分(与野党比率)は未決着のままだ。

 そんな中、質問時間割合変更を自民党の森山裕国会対策委員長と松本純国会対策委員長代理に申し入れ、この問題に“火”をつけた自民党若手議員の石崎とおる衆院議員(新潟1区で落選・比例復活)の職務怠慢ぶりが明らかになった。北朝鮮情勢が緊迫していると盛んに喧伝して衆院選を勝ち抜いたにもかかわらず、原発テロ対策について自民党の部会でまったく取り上げていないというのだ。

 石崎氏をはじめとして、世界最大級の柏崎刈羽原発を抱える新潟県選出の自民党議員は、衆院選では「原発テロ対策が重要」と認めていた。しかし、衆院選が終わってからこれまでに何も動きを見せていない。

米山新潟県知事に自民党国会議員からの働きかけナシ
 原発再稼動に慎重な姿勢の米山隆一・新潟県知事は11月8日の会見で、記者の質問にこう答えている。
――新潟県選出の自民党国会議員から「今の原発テロ対策が不十分だから強化するべきではないか」とか知事と意見交換したり、(党の)部会で取り上げたりという話はお聞きになったことはないのでしょうか。
米山知事:特段ありません。

――(小池百合子都知事の“盟友”で希望の党から出馬・落選した)若狭勝さんは自民党国会議員時代に「原発テロ対策が不十分だ」「原子力規制委員会の審査は甘い」ということを自民党の部会で発信なさっていたのですが、石崎さんはじめ自民党の地元国会議員からそういうことを聞いたことはないのでしょうか。
米山知事:自民党の部会が何をしているかは分かりません。少なくとも(地元自民党国会議員から)個別に言われたことはありません。

総選挙中は「原発テロ対策をきちんとやる」と言っていたが……
「日本の原発テロ対策は世界最低レベル」と小泉純一郎元首相も指摘している。しかも「原発テロ対策が不十分であることを原子力規制委員会は知らんふりで、審査対象外にしている。日本国民の生命と健康を守る上で大問題」と新潟5区で当選した泉田裕彦衆院議員・前新潟県知事は指摘していた。
 総選挙で2回、石崎氏の応援で新潟入りした石破茂・元防衛大臣も、同じ見方をしていた。応援演説後に直撃すると、次のように答えた。
「『テロ対策はもっときちんとしないといけない』というのは、私は防衛庁長官(第68・69代長官を歴任、その後第4代防衛大臣)の時からずっと言っていること。原発を民間警備会社やお巡りさんが守っている国は(日本以外には)ないからね。『原発テロ対策はきちんとやらないといけない』と思っています」(10月15日の新潟市での街宣後の石破氏の発言)

 記者は石崎氏も直撃したところ「私も石破さんの意見と同じ」と答えた。さらに若狭勝・前議員(希望の党)が自民党国会議員時代、部会で「原発テロ対策が不十分」と問題提起していたことについても聞くと、「若狭さんとも同じ考えです」と石崎氏は答えた。原発立地県である新潟県選出の石崎氏が真っ先にすべき仕事は、質問時間変更提案ではなく、原発テロ対策強化(自衛隊がすぐに原発防護を出動できる法整備など)なのではないか。
 しかも与党議員は、法案提出前に自民党部会で役人を呼んで議論(事前審査)をすることができる。与党の事前審査後に提出される法案について国会で質問、問題点を明らかにする野党議員とは“主戦場”が異なるのだが、石崎氏はホームグラウンドのような自民党の部会で原発テロ対策問題を取り上げてすらいないということが米山知事の発言で判明した

 石崎氏は自身のブログで質問時間変更申し入れの理由を次のように書いているが、党内の部会で仕事(質問)をしない職務怠慢を棚に上げ、自民党や首相官邸の“御用聞き”をしていると批判されている。
「(5年間の国会運営で)若手議員に質問時間が回ってくることはほとんどありませんでした。1回も質問時間が回ってこない議員が、『仕事をしていない』と週刊誌に叩かれることもありました。若手も国民の代表者であり、地域で聴いた国民の声を国政に届け、諸政策に反映させていくことは極めて重要な議員活動の一つであるにも関わらずです」

「職務怠慢」「御用聞き」といった汚名を晴らすには、石崎氏は質問時間変更よりも自民党部会で原発テロ対策強化を問題提起、対策強化法案の準備などについてたっぷりと質問をするべきだろう。

 【取材・文・撮影/横田一】
ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数