青森県は東北電力東通原発(東通村、運転停止中)の重大事故時の防災訓練で、初めてフェリーを使い、函館を経由して青森市に避難する計画を立て、15~30キロ圏のむつ市大畑地区の23人が10月25日に、折り返し点の函館港まで避難する訓練を行いました。
東通村住民の避難ルートは、東通村→むつ市大畑地区→(1時間15分)→大間フェリー港→(1時間30分)→函館港→(3時間40分)→青森港(カッコ内は乗車・乗船時間)で、実際の所用時間は10時間を超すということです。
この訓練について、青森県は事前に北海道に連絡しましたが、道は函館市には連絡しませんでした。
函館へ着いた避難者に高齢者や病人がいた場合の対応について、県と道、函館市の間で協議しておくことが必要ではないのか、と北海道新聞は指摘しました。
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フェリーで函館に移動、東通原発の防災訓練 青森県、道側と連携せず
実効性に疑問
北海道新聞 2017年11月5日
【函館】青森県が10月下旬に行った東北電力東通(ひがしどおり)原発(同県東通村、運転停止中)の重大事故を想定した防災訓練で、初めてフェリーを使い函館を避難経路に組み入れながら、避難者の受け入れで県は函館市や道と連携していなかった。県が函館ですぐに船を乗り換えて青森市へ向かうルートを設定しているためだが、所要時間は10時間を超す。道や函館市は実効性を疑問視しており、原発事故時の広域避難を巡る課題が浮き彫りになっている。
訓練は東通原発が全電源を失い「全面緊急事態」に至ったと想定。東通原発15~30キロ圏のむつ市大畑地区の23人が10月25日、陸路と津軽海峡フェリーの大間―函館便で、約5時間半かけて函館港に着いた。県が設定した避難ルートは図(添付省略)の通りだが、訓練では函館到着以降の移動を省略。折り返しの便で大間へ戻った。
県によると従来は陸路で青森市方面などへ南下するルートだった。東京電力福島第1原発事故後、30キロ圏外への避難が必要になり、昨年3月、広域避難の「基本的な考え方」を策定。下北半島北西部に逃げる場合、30キロ圏外の大半が小さな漁村集落で避難所の収容能力に乏しいため、海路で青森市方面へ向かうことにした。
この訓練実施について、県は函館市に知らせておらず、函館市は「報道で初めて知った」。道には事前連絡があったが、本庁職員ら7人が「視察」したにとどまり、地元の渡島総合振興局からの参加はゼロだった。函館へ着いた避難者に高齢者や病人がいた場合の対応について、県と道、函館市の間で協議はなされなかった。