2017年11月8日水曜日

中国初の海上浮動式原発 世界の注目を集める

 中国初の海上浮動式原発が2020年までに完成し、新しい市場の獲得を目指すとともに、当面 南シナ海の島および石油・ガス掘削施設に電力を安定供給に供されます。
 原発を海に浮かべるというイメージではなく、船舶に小型の原発を取り付けて移動を可能にするというスタイルのようです。
 もともと原発は原子力潜水艦の動力源として開発されたものなので、一種の先祖がえりというべきものですが、どの程度の規模なのかなど注目されます。

 人民網日本語版とロイター通信の記事を紹介します。
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中国初の海上浮動式原発、世界の注目を集める―中国紙
人民網日本語版 2017年11月7日
ロイター通信は10月31日、中国初の海上浮動式原発がまもなく完成すると報じた。中国船舶重工集団の技術者である張乃亮氏によると、中国の関連技術は「十分成熟」しており、2020年までに準備作業を終え、渤海における掘削基地で初の試験が行われるという。科技日報が伝えた。

記事に記載された広範な応用シーンは、注目を集めた。記者が関連部門に問い合わせたところ、確証は得られなかった。海上浮動式原発とは何だろうか、なぜ社会から広く注目されているのだろうか、海上浮動式原発の発展はどのような問題に直面しているのだろうか。記者は関連問題について、関係者を取材した。

資料によると、国家発展改革委員会は2015年に、中核集団の「ACP100S」、中広核の「ACPR50S」、中船重工の国家海洋原子力プラットフォーム模範プロジェクトを、エネルギー科学技術革新「第13次五カ年計画」に盛り込むことに同意した。

海上浮動式原発は、なぜ注目されているのだろうか。ある匿名の業界関係者によると、陸上原発の縮小版を船舶に取り付けるため、離島に安全かつ効果的なエネルギーを供給でき、さらに遠洋で作業中の海上油田・天然ガス掘削プラットフォームに電力・熱・淡水資源を提供できる。また、電力や熱、海水淡水化が必要であれば発電所を運び駆けつけ、必要なくなれば発電所を運び去ってくれるという特長がある。
少し不思議な話に聞こえるが、その技術の原理に不思議な点はない。陸上に建造していた原発を、船舶に取り付けるだけのことだ。

ACP100プロジェクト副チーフデザイナーの許斌氏は、「原発の数十、さらには百万kWの原子炉と比べ、海上浮動式原発の原子炉は小型化・モジュール化・一体化・パッシブなどの先進的・革新的技術を搭載する。安全性と柔軟性が高く、幅広い用途を持つ」と説明した。

業界関係者は、「海上浮動式原発の発展には多くの問題がある」と述べ、次のように例を挙げた。海上浮動式原発は数多くの部門に関わり、いかに監督管理するか、誰が統一的に管理するかがまだ明確化していない。また、海上浮動式原発の整った産業チェーンが構築されておらず、より経済的というデータもまだ憶測に過ぎず、投資家の信頼に間接的に影響を及ぼしている。(提供/人民網日本語版・編集/YF)


中国の海上浮動式原発、まもなく完成へ 関係筋
ロイター通信 2017年10月31日
[上海 31日 ロイター] - 中国初の海上浮動式の原子力発電所がまもなく完成する見通しだ。プロジェクトにかかわった技術者らが明らかにした。中国は南シナ海で軍事演習を行ったり施設を建設するなど軍事拠点化を進めており、懸念が強まりそうだ。

中国政府は海上原発により、新しい市場の獲得だけでなく、南シナ海の島および石油・ガス掘削リグに電力を安定供給することで「強い海運国」になる大望を支援することにつながるよう期待している。
国有の中国船舶重工集団(CSIC)の技術者であるZhang Nailiang氏によると、技術は「十分成熟」しており、同国北東部の渤海における掘削基地で最初の実証プロジェクトがまもなく行われるという。
同氏は今月開催された業界の会議で「もうまもなく完成することに自信を持っている」と述べた。具体的な日程については明らかにせず、2020年よりかなり前に準備が整うと説明した。

実証プロジェクトはCSIC、中国海洋石油(CNOOC)および、原子炉建設の中国核工業集団(CNNC)と中国広核電力(CGNパワー)の調査チームが開発している。

今月開催された中国共産党大会で、習近平国家主席は海運国としての存在感を高める目標を再度掲げており、Zhang氏は海上原発がこの政治的目標に貢献すると述べた。
一方で専門家からは、海上原発は安全性やセキュリティーの問題につながる可能性があるとの懸念が出ている。
シンクタンク、カーネギー国際平和基金の核政策プログラムの上級フェロー、マーク・ヒブス氏は「問題は、遠隔にあることでセキュリティー、安全性、経済、物流面であらゆる種類の疑問が生じるということだ」との見解を示した。さらに、周辺国と領有権問題が起きている南シナ海の軍事化につながりかねないとも指摘した。