「一番の犠牲者は子ども」原発・区域外避難者訴訟 本人尋問で3人訴え【千葉】
東京新聞 2017年11月10日
東京電力福島第一原発事故に伴い、福島県の避難指示区域外から千葉県内に避難した六世帯十九人が国と東電に約二億七千万円の損害賠償を求めた訴訟の第十一回口頭弁論が九日、千葉地裁であり、原告三人が本人尋問に臨んだ。福島県南相馬市から千葉県内に避難している三十代の女性は「事故の一番の犠牲者は子どもたち。生活を守るために賠償責任を果たしてほしい」と訴えた。
尋問で女性は、長女が避難先での高校受験に「希望が持てない」と漏らしたことや、長男が小学校で「福島に帰れ」と言われたことを明かした。「それでも親は子どもの健康や環境を守る責任がある。自立するまで避難生活を続けたい」と述べた。
二〇一一年十一月、福島市から野田市に妻子と避難した菅野貴浩さん(55)は「国と東電は、ただでさえ狭い日本に人の住めない土地を作ってしまった。地域に残った人、出た人がいて、再び戻っても昔のように仲良くなれない」と嘆いた。
別の女性は避難を巡って夫と意見が食い違い、離婚。避難先で心身の健康を崩したといい、「原発事故で家を奪われ、自主避難を選んだ思いを理解して」と涙ながらに訴えた。
次回口頭弁論は来年一月十八日で、原告の本人尋問が行われる。(美細津仁志)