三日月大造・滋賀県知事は、26日、来県した中川雅治原子力防災担当相に対して、大飯原発の再稼働について、「多重防護体制の確立は道半ばで、再稼働を容認できる環境にない」、「多重防護体制として実効性が十分に担保されていない」と主張しました。
また原子力災害の緊急時対応について「実動組織の自衛隊等の住民救助の具体的な計画がまだなく、避難車両およびバス等の運転手の確保などが実際確保できるのかという不安が依然残っている」と課題を挙げました。
立地県の西川一誠・福井県知事が27日、大飯原発再稼働に同意した中で、三日月知事は理路整然と「再稼働を容認できる環境にない」ことを説明しています。
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大飯原発 三日月知事 「再稼働容認の環境にない」
滋賀報知新聞 2017年11月29日
来年1月にも福井県おおい町にある大飯原発3、4号機(関西電力)の再稼働が見込まれる中、中川雅治原子力防災担当相は26日、滋賀県を訪れ、三日月大造知事と会談した。この中で三日月知事は「多重防護体制の確立は道半ばで、再稼働を容認できる環境にない」と従来の県の主張を繰り返した。
全国有数の原発銀座に隣接する滋賀県として近畿1450万人の命の水源である琵琶湖を預かる三日月大造知事は、多重防護体制として(1)ハード整備のみならず、避難訓練や住民とのリスクコミュニケーションなどソフト対策が(2)立地自治体のみならず最低30キロ圏内の自治体との連携協力体制や安全対策への関与が担保されている(3)再稼働の手続き等で事業者と自治体間の任意協定でなく法定に明確化されている―ことが不可欠とし、現時点で実効性が十分に担保されていないと主張。
さらに原子力災害の緊急時対応について「実動組織の自衛隊等の住民救助の具体的な計画がまだなく、避難車両およびバス等の運転手の確保などが実際確保できるのかという不安が依然残っている」と課題を挙げた。
また福島の原発事故にも触れ「復興はいまも途上で、事故対応も当初の想定から大きく上回り、原発の経済性も揺らぎが出ている。国はできるだけ早い時期に原発に依存しないエネルギー社会に転換すべき」と訴えた。
大飯原発や大飯オフサイトセンター、高島市の住民らが原発災害時に避難経路として利用することになる国道161号線を視察した中川同担当相は「より実効性の高い計画にしていくため大飯地域の緊急時対応に基づく訓練の実施に向けて関係自治体とも相談の上、調整を進める。原子力防災には終わりはない、つねに充実強化させていく」と述べた。
なお、福井県の西川一誠知事は27日、大飯原発再稼働に同意した。三日月知事は改めて「再稼働を容認できる環境にない」とコメントした。