福島第一原発2号機に燃料デブリと見られる堆積物
NHK NEWS WEB 2018年1月19日
福島第一原子力発電所2号機で19日、格納容器の内部調査が行われ、容器の底の付近で核燃料を束ねる部品の一部と小石のような堆積物が見つかり、東京電力は、事故で溶け落ちた核燃料と構造物が混じり合った「燃料デブリ」と見られると発表しました。2号機で燃料デブリと見られる堆積物が確認されるのは初めてで、東京電力は調査結果をもとにデブリの取り出し方法を検討することにしています。
福島第一原発2号機では、事故で溶け落ちた核燃料と構造物が混じり合った「燃料デブリ」の一部が原子炉を覆う格納容器の底にたまっていると見られ、国と東京電力は19日、2号機の格納容器の内部を調査しました。
調査は、先端にカメラなどを取り付けた最大16メートルの長さまで伸ばせる棒状の装置をつりおろして行われ、東京電力は撮影した写真を公開しました。
このうち、格納容器の底の付近で撮影した写真には、小石のような堆積物が広がっているような様子が写っていて、核燃料を束ねた燃料集合体の取っ手の一部も写っています。
この堆積物について東京電力は、燃料デブリと見られると発表しました。また、容器の底の付近には、粘土状に見える堆積物も確認されたということで、東京電力は燃料デブリかどうか、さらに画像の解析を進めることにしています。
福島第一原発では、3号機の格納容器で去年7月、初めて燃料デブリの可能性が高い塊が確認されていますが、2号機でデブリと見られる堆積物が確認されるのは初めてです。
国と東京電力は、燃料デブリの取り出しについて、2019年度に最初に取り出す号機や方法を決める計画ですが、今回、2号機で初めてデブリの可能性がある堆積物が確認されたことで、3号機とともに、先行してデブリを取り出す号機として有力な候補となります。
2号機の内部は
(中 略)
東京電力はこの堆積物についても燃料デブリかどうか分析を進めることにしています。このほか、原子炉の真下の状況を撮影した画像も公開され、この画像からは、もとの構造物が原型をとどめ、大きく壊れていない様子が確認できます。
これまでの原発内部調査は
福島第一原発の格納容器の内部の調査では、1号機と3号機でも「燃料デブリ」の取り出しに向けてロボットなどを使った調査が行われてきました。
このうち、3号機では去年7月、魚のマンボウに見立てた水中を進むロボットを原子炉の真下にあたる範囲に投入し、内部の状況を調べました。
その結果、事故の前にはなかった格納容器の底に岩のような黒い塊などが堆積しているのが見つかり、東京電力は事故のあと初めて、燃料デブリの可能性が高い塊が確認されたと評価しました。
また、1号機では去年3月、カメラをつり下ろしていくロボットで調査が行われ、原子炉の真下にあたる範囲の外側にたまった汚染水の中を撮影しました。しかし、砂のような堆積物は見つかりましたが、燃料デブリを確認することはできませんでした。
1号機は、原子炉の真下にあたる範囲を調査するために必要な装置を入れる場所の放射線量が高いため、次の調査の具体的な計画は示されていません。
2号機のこれまでの調査
2号機では、原発事故の翌年の平成24年から格納容器の内部調査が始まり、格納容器の中にある原子炉に入れた冷却水が水滴となって落ちている様子や1時間当たり最大73シーベルトの極めて高い放射線量が確認されました。
その後、去年1月から2月にかけて行われた調査では、最初にカメラを取り付けた棒状の装置が使われ、原子炉の真下のエリアで、作業用の床の上に黒みがかった堆積物が見つかりましたが、燃料デブリとは確認できませんでした。
さらに、ロボットによる調査が行われましたが、途中で動くことができなくなり原子炉の真下まで進めず、デブリは確認できませんでした。
2号機もデブリ取り出す有力候補に
今回、福島第一原発2号機の格納容器で燃料デブリと見られる堆積物が確認されたことで、2号機も3号機とともに最初にデブリを取り出す有力な候補になります。
政府は、去年9月に見直した福島第一原発の廃炉の工程表で、「燃料デブリ」の取り出しについて、2019年度に最初に取り出す号機や方法を決め、3年後の2021年に取り出しを始める計画を示しています。
どのように決めるかは、格納容器の損傷状況、デブリの位置や状態を確認することが必要ですが、これまでの調査では、3号機でしかデブリの可能性が高い塊は確認されていませんでした。
今回、2号機で初めてデブリと見られる堆積物が確認されたことで、3号機とともに、最初にデブリを取り出す号機として有力な候補になります。
(後 略)