世界に例のない「原子力ムラ」を擁する日本は、福島原発事故の当事国でありながら送電容量の空きがないという虚偽の口実の下に、既存の電力会社と共に、頑として再生エネ発電の受け入れを拒否してきました。
結果として日本はいまや世界の「脱原発=再生エネ発電へのシフト」の流れの中で、明らかな『孤児』となっています。
日経新聞が、欧州では、太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーへのシフトを進めていて、各社が新設を発表した施設の発電能力は合計で5千万キロワットを超えると報じました。出力ベースで100万キロワットレベルの原発50基分以上に相当する規模です。
言うまでもなく技術革新による再生エネ発電の低コスト化によるものです。
そのレベルですが、17年のサウジアラビアの大型太陽光発電所の入札では1キロワット時あたり2セント(≒2円)を下回る価格で決まったというとです。
因みに、日本の「原子力ムラ」がしがみついている原発の発電コストは、誤魔化しにごまかしを重ねても1キロワット時あたり14円ほどです。
日本の政治社会のいびつさがよく分かる例です。
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欧州電力大手の再エネ導入、原発50基分
日経新聞 2018/1/5
【フランクフルト=深尾幸生、パリ=白石透冴】欧州の電力大手が太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーへのシフトを進めている。各社が新設を発表した施設の発電能力は合計で5千万キロワットを超える。出力ベースで原子力発電所50基分以上に相当する規模だ。「脱化石燃料」の流れが加速する背景には、技術革新による低コスト化がある。
発電能力を示す発電設備容量で欧州首位の仏EDFは2030年までに、再生エネの発電能力を16年比で7割増の5千万キロワットに増やす。同社は「30年までの設備投資金額の3分の1を再生エネに投じる」と発表した。約3千万キロワット分の太陽光発電所を20~35年に建設し、風力発電所などの新設も進める。
同2位のイタリア、エネルは20年までの3年間で83億ユーロ(約1兆1千億円)を投じ、再生エネの発電能力を780万キロワット増やす。スウェーデンのバッテンファルは再生エネの発電能力を25年までに約3.5倍に増やす計画だ。このほかの欧州電力大手も再生エネ設備の増強を打ち出し、大手9社で増える発電能力は5700万キロワットに達する。
背景にあるのは技術革新による低コスト化だ。たとえば風力ではタービンの大型化が進み、タービンの本数削減が可能になった。建設技術の向上で、風車設置に必要な期間は従来の1週間から1日にまで短くなった。太陽光では中国の巨大パネル工場が供給を増やし、価格が大幅に下落した。
17年にはサウジアラビアの大型太陽光発電所の入札が1キロワット時あたり2セントを下回る価格で決まった。洋上風力では補助金ゼロで落札される案件も現れている。
欧州連合(EU)の欧州議会は近く、最終エネルギー消費に占める再生エネの比率を30年に最低27%に引き上げる法案を採択する。15年実績の17%から大幅な引き上げだ。
最終エネルギー消費は自動車のガソリンや暖房のためのガスも含む。30年目標の27%は、電気を起こす方法の割合を示す「電源構成」に換算すると50%前後で、30年に電源構成の22~24%を再生エネで賄うとする日本の計画を大幅に上回る。
だが欧州各社はむしろ27%という目標が「低すぎる」とみている。エネルなど6社は「より意欲的な目標が必要」と提言した。理由に挙げたのが「再生エネはすでにもっともコスト競争力が高い」ことだ。
国際エネルギー機関によると、16年の再生エネ発電への投資額は世界で2970億ドルだった。前年比3%減だが、主因はコストの低下だ。12~16年の5年間の投資額はその前の5年間比で3割増え、石炭やガスなどの化石燃料による発電への投資の約2・6倍だった。
温暖化ガス排出抑制のもう一つの柱である原子力発電所はコストの上昇に直面している。東日本大震災の原発事故を契機に、安全を確保するためのコストが上積みされたためだ。フランスやフィンランドでは建設中の新型原子炉の建設費用が計画当初の2倍以上に跳ね上がり、稼働も大幅に遅れた。
英仏、オランダなどは石炭火力を全廃する方針で、ドイツやベルギーは脱原発を進めている。各国は風力発電所などの設置手続きを早めるなど再生エネへの支援を強める構えだ。コスト競争力向上と政策の後押しを受け、今後も再生エネの導入が加速する可能性が高い。