迎春の喜び古里で 避難解除の浪江、正式帰還後初めての新年
河北新報 2018年1月3日
東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が昨年解除された福島県内の地域で1日、住民が正式帰還後、初の新年を迎えた。福島県浪江町では初詣の参拝客もいて、それぞれが1年の安寧と地域の復興を祈った。
浪江町中心部の浪江神社に早朝訪れたのは石沢正男さん(76)。昨年9月に避難先から戻り、町営住宅で暮らす。「1年の健康をお願いしました」
町は昨年春に一部で避難解除されたものの、帰還率は3%に届かない。「以前は大みそかから参拝客が続いていたんだがなあ」。人けのない境内で石沢さんがつぶやいた。
町内の主要な神社は復旧が進まず、元旦の神事を見送った。浪江神社も鳥居が崩れ、再建に着手できていない。拝殿の柱にゆがみが目立つ。
町内で暮らす佐藤秀三さん(72)はこの日、家族で浪江神社でおはらいを受けた。大きなお札には「復興祈願」の文字。「7年前にいただいたお札もようやく神社にお返しできた」と笑顔を見せた。