京都在住の原発避難者たち(訴訟原告団)が手記:「私たちの決断 あの日を境に…」を出版しました。32人が手記やアンケート形式で思いを寄せたほか、弁護団長や事務局長、支援者のメッセージも紹介されていて、A5判 128頁で価格は 千円です。
原告代表の福島敦子さんは「事故はまだ終わっていない。手記は私たちそれぞれの純粋な決断が記されている。原発事故に向かい合う手引きや動きだす一歩にしてほしい」と話しています。
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原発避難者、苦境や怒り記す 京都原告団が手記出版
京都新聞 2018年1月19日
東京電力福島第1原発事故を巡る京都の原発避難者訴訟の原告団が、「私たちの決断 あの日を境に…」と題した手記を出版した。32人が被災時や避難生活での苦境、東電や国の施策に対する不信感や怒り、事故が引き裂いた家族や知人との絆、裁判にかける思いなどをつづった。原告たちは「私たちのドラマを通して原発事故がもたらした問題を訴えたい」と話している。
訴訟では京都府内に避難した57世帯174人が、東電と国に計約8億4660万円の損害賠償を求めている。昨年9月末に京都地裁で結審し、判決は3月15日に言い渡される。
原告たちは昨年6月、「原告の思いを形に残し、より広く社会に伝えたい」と手記の出版を着想。編集を担った原告代表の福島敦子さん(46)によると、ほぼ全世帯に対して行われた裁判の本人尋問で、記憶が呼び起こされたり、尋問で吐露しきれなかった心情をつづりたいという思いを強くした原告が多かった。
32人が手記やアンケート形式で思いを寄せたほか、弁護団長や事務局長、支援者のメッセージも紹介。
福島さんは事故当時の状況や、南相馬市から家族で避難した経緯、自主避難者の「避難する権利」を求めている訴訟のことなどを記した。意見陳述や本人尋問で地裁や民意に訴えてきたとし、「理不尽な仕打ちの数々にまるで蓮(はす)の花のように凜(りん)としてひるむことなく、大きな岩を動かすように楔(くさび)を打ち続けています」としたためた。
福島市から子どもと京都市に避難した女性は、放射能汚染への怒りと地元の川をしのんで「事故前のきれいな自然には二度と戻らないのです」と訴える。現在は他県に移住した女性は避難先の支援者に感謝しつつ、避難者として声を上げにくい生活への不満や苦しさを書きつづった。
福島さんは「事故はまだ終わっていない。手記は私たちそれぞれの純粋な決断が記されている。原発事故に向かい合う手引きや動きだす一歩にしてほしい」と話している。
A5判128ページ。千円。メールアドレス shien_kyoto@yahoo.co.Jp か、ファクス 075(622)9870 で申し込む。