1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発跡が、ウクライナの真ん中にある『ブラックホール』になってはいけないということで、発電規模 1メガワット(1000kw・建設費約100万ユーロ=1億3500万円) のメガソーラー(太陽光発電所)が完成に近づいています。
チェルノブイリには原発用の大規模な送電設備が既に備えられていることが強みで、今後この一帯にメガソーラーがおよそ100カ所で建設される予定だということです。
合理的な計画に思われ、日本も参考にすべきです。
合理的な計画に思われ、日本も参考にすべきです。
なおこの記事は下記の詳報版に当たります。
(関係記事)
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放射能で汚染されたチェルノブイリはいま
「一大メガソーラー施設」として活用されつつある
GIGAZINE 2018年01月20日
1986年に原子炉が暴走したことによる爆発事故が起きたチェルノブイリ原子力発電所事故では発電所の周囲に大量の放射性物質がまき散らされたために、事故から30年がたった時点でも近隣では人間の立ち入りや農業・畜産が制限されています。そんなチェルノブイリでは、使われなくなった土地を使った太陽光発電施設(メガソーラー)の建設が進められています。
このプロジェクトは、ウクライナのエンジニアリング会社であるロディナ・エナジー・グループとドイツのハンブルクに本拠を置くクリーンエネルギー会社であるエネパルクAGによって開発されています。ロディナ最高経営責任者であるEvgeny Variagin CEOによると、発電規模は1メガワット(1000kw)で、建設には約100万ユーロ(約1億3500万円)の費用がかかるとのこと。Variagin氏はブルームバーグの取材に対し、「チェルノブイリ・ゾーンを最適化したいと考えています。この地域は、ウクライナの真中ある『ブラックホール』になってはいけません。我々のプロジェクトは、原子炉から100メートル離れただけの場所でおこなわれています」と述べています。
ウクライナのエコロジー省は、事故中心部の一帯1000マイル(約1600km)の土地を再活性化する計画を2016年7月に発表しています。いまも放射線を発し続ける放射性物質により、この地域では農業や林業を行うことは非常に困難なものとなっているのですが、そんな「空っぽの土地」を活用するための方策として考え出されたのが、太陽光発電による再生可能エネルギーの活用です。またこの地域には、チェルノブイリ原発が稼働していた時の名残として大規模な送電設備が備えられていることが、このプロジェクトを後押しする要因の一つになっているとのこと。
このプロジェクトに資金を集めるために、ウクライナ政府はメガソーラーに用いられる土地の使用料を低く設定するとともに、発電した電力を買い取る際の価格を優遇する固定価格買取制度を導入しています。プロジェクトを進めるロディナとエネルパルクは、2030年までの間、ヨーロッパにおける平均価格よりも約40%高いという「1キロワット時あたり0.15ユーロ(約20円30銭)」という価格で電力を政府に販売し続けることができる契約を結んでいます。これについてブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスのアナリスト、ピエトロ・ラジョア氏は、「価格が高いのはリスクのある市場だからです。投資家は高い収益率を享受できると思います」と述べています。
この取り組みについては他のエネルギー企業からも注目が集まっているとのこと。フランスの電気事業者であるエンジーは、「ギガソーラー」規模のプロジェクトを前提とした予備調査を実施しているほか、中国のGCL System Integration TechnologyおよびChina National Complete Engineering Corpも一大ソーラーパークの建設に関心を寄せています。
しかしロディナとエネルパルクはすでに、チェルノブイリにメガソーラーをおよそ100カ所で建設する予定を立てているとのこと。ロディナのVariagin氏はこの計画の実現のために、別の新たなパートナーと協力することについてオープンな姿勢を示しています。