<成人式> 福島の原発事故被災自治体 出席者減に危機感 かすむ未来
河北新報 2018年1月8日
東京電力福島第1原発事故に伴い全町避難した福島県の自治体が、来年以降の成人式の在り方に頭を痛めている。町内の中学校で学んだ経験のない世代が次々と20歳を迎え、出席率低下が懸念されるためだ。新成人の一体感を維持しようと、日程や式典の内容を見直す動きが出てきそうだ。
全町避難が続く大熊町が7日、いわき市で開いた式には新成人の約7割の82人が出席。町教委の担当者は「まずまずの出席率だが、来年はさらに下がる可能性がある」と不安を語った。
町内にあった大熊中で学んだ世代は、原発事故発生時に1年生だった今回の新成人が最後。会津若松市の仮設校舎で再開した同中の卒業生も、来年に成人を迎える学年(56人)から年々減り、避難先で中学校を卒業した人が増える。
成人式は中学校の同窓会の側面がある。多感な時代を過ごした仲間と共に祝いたいと願う新成人は多い。
全町避難が続く双葉町がいわき市で3日に開いた成人式では、避難先の埼玉県加須市の式にも出るという新成人がいた。7日、避難指示解除を受け7年ぶりに町内で成人式を開いた富岡町では、卒業した中学校の同級生との2次会に参加するため式終了後、中通り地方に向かう出席者の姿もあった。
富岡町の石井賢一教育長は「避難先の成人式出席と両立するため、例えば開催時期をずらして『集い』という形式にすることも考えられる」と話した上で「三春町にある(富岡町立中学校の)三春校を巣立った子どもも丁寧にお祝いしなければならない」と悩ましさを口にした。