福島県内の小中学校、幼稚園などで保管している放射能汚染土は中間貯蔵施設の受入対象外であるとして、いまだに宙に浮いていることが28日、明らかになりました。環境省が、中間貯蔵施設などを定めた汚染対処特別措置法施行(2012年1月)以前に行われた学校除染の廃棄物を同法の適用対象とみなしていないためです。まことに杓子定規の考え方で、「除染の実施時期で扱いを区別するのはおかしい」と県内から反発の声が出ています。
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指定廃棄物最終処分場の候補地に選ばれた栃木県塩谷町の民らが29日、環境省に選定の白紙撤回を求める約17万人分の署名を提出しました。環境省は「不安払拭のためにも意思疎通が大事だ」と述べ、住民説明会を開く意向を示しました。
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原子力規制庁は29日、もんじゅの監視カメラ180基の約3分の1が故障していたのを放置していたのは保安規定違反であり、自律的に改革する姿勢が不足していると原子力規制委に報告しました。
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原子力規制委は29日の定例会合で、東北電力女川原発2号機(宮城県)で、存在しない11の機器の部位15件を「点検した」と記録するなど、点検記録に不適切な点があったとして保安規定違反と判断しました。ただし必要な点検自体は実施されていたので、違反のうち最も軽度の「監視」としました。
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福島中間貯蔵 学校保管汚染土搬入できず
河北新報 2014年10月29日
福島第1原発事故の除染で出た廃棄物の中間貯蔵施設をめぐり、福島県内の小中学校、幼稚園などで保管している放射能汚染土が搬入対象から除外され、扱いが宙に浮いていることが28日、明らかになった。環境省が、放射性物質汚染対処特別措置法施行(2012年1月)以前に行われた学校除染の廃棄物を同法の適用対象とみなしていないためだ。県は「除染の実施時期で扱いを区別するのはおかしい」と反発、搬入を認めるよう求めている。
県内の除染は、特措法に基づき、第1原発から20キロ以内の旧警戒区域など放射線量の高い地域は環境省が直轄で行い、それ以外の地域は各市町村が実施。それに伴う汚染土や廃棄物は同法が定める中間貯蔵施設に搬入されることになっている。
県は、小中高校や幼稚園などで施行以前に行われた除染の廃棄物も、中間施設に運び込める仕組みをつくるよう繰り返し要望してきたが、環境省は「特措法に基づく搬入対象に直ちに該当するものではない」と態度を留保。10月中旬に開いた県の課長クラスとの非公式会合でも、同様の見解を示した。
除染や廃棄物の搬入にかかった経費は最終的に国が東電に負担を求める仕組みで、学校などの汚染土も中間貯蔵施設に運んだ場合、東電の費用負担が大きく膨らむことも背景にあるとみられる。
こうした状況に、県内では「子供が安心して学べる環境を国が責任を持って整えてほしい」(福島市幹部)との反発が出ている。環境省幹部は取材に「法律上は搬入対象に入っていない。特措法の前か後かで廃棄物の中身が変わらないとすれば、入れないのは非合理な部分もある」と述べ、今後省内で検討する考えを示した。
福島県は8月末、中間貯蔵施設建設の受け入れを決定。政府は来年1月の搬入開始を目指し、地権者への説明を続けている。しかし、県は廃棄物の搬入を認めるかどうかについてはあらためて判断するとし、環境省の対応次第では、県側が態度を硬化させる事態も予想される。
17万人の反対署名提出 栃木・塩谷町 住民ら環境省に
東京新聞 2014年10月29日
東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場をめぐり、候補地に選ばれた栃木県塩谷町の反対住民らが二十九日、環境省を訪れ、選定の白紙撤回を求める約十七万人分の署名を小里泰弘環境副大臣に提出した。小里氏は「地域の心配がここに詰まっている。不安払拭(ふっしょく)のためにも意思疎通が大事だ」と述べ、住民説明会を開く意向を示した。
環境省は候補地選定の経緯や施設の安全性、風評被害対策について、塩谷町から三日と二十日に受けていた質問に対する回答書を見形和久町長に手渡した。
回答書では、地元の意向を十分に聴いた上で候補地を示しており、詳細な調査を通じて安全性を評価したいと強調。観光や特産品のPR活動を支援するなど風評被害対策にも努めるとして、調査の早期実施に理解を要請した。
監視カメラ故障は保安規定違反 もんじゅで原子力規制庁
東京新聞 2014年10月29日
原子力規制庁は29日、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ(福井県)の監視カメラ180基の約3分の1が故障していた問題は、原子炉等規制法に基づく保安規定違反と判断したと原子力規制委員会に報告した。
もんじゅは大量の機器点検漏れで、規制委から事実上の運転禁止命令が出ているが、規制庁は「原子力機構の保守管理体制などの再構築が不十分な状況は改善されていない。自律的に改革する姿勢が不足している」と厳しく批判した。 (共同)
女川原発で保安規定違反 存在しない部位を「点検」
東京新聞 2014年10月29日
原子力規制委員会は29日の定例会合で、東北電力女川原発2号機(宮城県)で、存在しない機器の部位を「点検した」と記録するなど、点検記録の管理に不適切な点があったとして原子炉等規制法に基づく保安規定違反と判断した。
記録に不備があったのは11機器で計15件。ただし必要な点検自体は実施されており、違反のうち最も軽度の「監視」とした。
東北電力は「真摯に受け止め、再発防止策を取る」として、調査チームを設置し他号機も含め関係する全ての点検記録を再確認する。
東北電力は女川2号機の再稼働を目指して規制委の審査を受けている。 (共同)