川内原発の立地自治体である薩摩川内市の岩切秀雄市長が、原発の再稼働に事実上の同意を表明しました。
28日、市議会は特別委員長から審査経過の報告を受けた後、議長と退席者1人を除く24人で採決し、早期再稼働を求める陳情1件を19対4(棄権1)の賛成多数で採択したことを受けてのものでした。
なお、市長は2年前の選挙で再稼働容認を訴えて再選されました。
記者会見で市長は、川内原発で重大事故が起きた際の責任は、「一義的には電力事業者だが、最終的には国が負うべきだ」と述べました。しかし福島事故を見ても、電力も国もロクに責任など取っていないし電力の資力では賠償もできません。
責任は電力と国にあるからとして周辺自治体への配慮もせずに、地元の利益だけは享受するという理屈は通らないのではないでしょうか。
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川内再稼働に市長も同意 「事故責任、国が負うべき」
東京新聞 2014年10月28日
九州電力川内原発が立地する鹿児島県薩摩川内市の岩切秀雄市長は28日、市議会の臨時議会後の全員協議会で「国の責任の下で再稼働することを立地自治体として理解する」とし、再稼働に事実上同意を表明した。
その後の記者会見で「日本の経済発展で国が責任を持って再稼働させられる原発は動かしてほしい」と強調。ただ将来的には廃炉が必要との認識も示し、「原発に依存していては日本が成り立たなくなる。次世代エネルギーの研究も進めないといけない」と語った。
川内原発で重大事故が起きた際の責任には「一義的には電力事業者だが、最終的には国が負うべきだ」と述べた。(共同)
川内原発:市長、再稼働に同意 議会の賛成採択受け
毎日新聞 2014年10月28日
国の新規制基準に初めて適合した九州電力川内(せんだい)原発が立地する鹿児島県薩摩川内市の岩切秀雄市長が28日、再稼働への同意を表明した。同日の臨時市議会で、川内原発の再稼働を求める陳情が採択されたことを受け判断した。一方、傍聴席内外は、再稼働反対を訴える人たちが詰めかけ、騒然とした。
市議会原発対策調査特別委員会が20日に、早期の再稼働を求める陳情を賛成多数で採択したことを受け、市長が臨時議会を招集していた。この日は特別委員長から審査経過の報告を受けた後、議長と退席者1人を除く24人で採決。再稼働反対陳情10件を不採択とした上で、早期再稼働を求める陳情1件を19対4(棄権1)の賛成多数で採択した。
市議会の判断を受け、2年前の選挙で再稼働容認を訴えて再選された岩切市長は臨時市議会後の全員協議会で「再稼働を進める政府の方針を理解する」と述べ、川内原発の再稼働に同意した。
一連の地元同意手続きで、伊藤祐一郎知事は同意が必要な範囲を県と薩摩川内市に限っており、市が結論を出したことで手続きは県へと移る。
県議会にも再稼働反対、賛成の陳情が出されており、27、28日の2日間、原子力安全対策等特別委員会で審査。県議会は、11月初旬にこれらの陳情を採決する臨時会を開く方向で調整している。ただし、再稼働への協力要請のため鹿児島入りする予定の宮沢洋一経済産業相の日程次第で、スケジュールが変わる可能性がある。
川内原発1、2号機は、福島第1原発事故後に策定された新規制基準に初めて適合した。現在、川内以外に12原発18基が原子力規制委員会で審査されている。薩摩川内市が立地自治体として初めて同意したことで、他の原発の地元自治体の判断にも影響を与えそうだ。【宝満志郎、津島史人】