2014年10月4日土曜日

福島原発 トレンチ水凍結せず セメントで止水

 東電福島原発のトレンチ内の水の凍結による止水が上手く行かないことと、多核種除去装置ALPS装置が一向に安定的に動かないことは、もはやニュースにする価値もないほどに、当たり前のこととして繰り返されてきました。
 東京電力は3日、ついに凍結では汚染水を止められないとして、新たにセメントなどの止水材を注入しトレンチを埋めるなどの案を提案し、原子力規制委もれを了承しました。
 
 凍結法で上手く止水できないのは、凍結が進み未凍結部分が縮小するにつれてそこの局部流速が上がるためです。しかしこれほど基本的で当たり前のことが、どうして事前に問題視されなかったのか不思議なことです。
 
 そもそも本体工事である凍土壁による遮水については、春先にさまざまな疑問が提出されていた中で、6月早々にあたかも既成事実化を目的にするかのようにして、経産省と業者が強引に着工したという経緯もありました。
 
 周囲がコンクリート製の数m角のトレンチ内の、内部構造が熟知されている箇所の止水がこの有様ですから、全長1500mに及ぶ凍土壁で完全に凍結止水が出来るのかどうか、結論はもう明らかです。
 
 何もかもが実にお粗末な話です。
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
福島第一原発 新対策、凍結だけで汚染水止まらず 
 TBS 2014年10月3日
 汚染水対策の新たな工事です。
 
 福島第一原発では、「トレンチ」と呼ばれる地下のトンネルに高濃度の汚染水が溜まっています。東京電力は、トレンチと建屋が接続する部分を凍らせて水を止めた上で、汚染水を抜き取る計画を立て工事を始めましたが、半年たっても完全に凍結できず、工事は難航しています。
 東京電力は凍結だけでは汚染水を止められないとして、3日、新たに汚染水を抜き取りながらセメントなどの止水材を注入し、トレンチを埋めるなどの案を提案。原子力規制委員会もこれを了承しました。
 「手をこまねいている時間が長くなればなるほど危険な状況が続く。うまくいかないならいかないなりに見切りをつけ、次の『水中充てん』に移行していかなくてはいけない」(原子力規制委 更田豊志 委員)
 規制委員会は来月上旬まで状況を見た上で、今回了承された新たな汚染水対策に踏み切るか最終判断します。
 
 福島第一原発では1号機から4号機の建屋全体を囲う「凍土壁」の工事も計画されていますが、今回の対策で地下の汚染水を抜き取れない限り凍土壁を建設することもできず、汚染水対策がさらに遅れる可能性もあります。
 
 
福島第一原発のトレンチ止水は来月上旬まで
NHK NEWS WEB 2014年10月3日
東京電力福島第一原子力発電所で「トレンチ」と呼ばれる地下のトンネルに流れ込んだ汚染水の対策が難航している問題が原子力規制委員会の会合で取り上げられ、東京電力が続けてきたトレンチを止水する対策の期限を来月上旬までとしたうえで、うまくいかない場合は汚染水が入った状態のままトレンチにセメントを流し込む方法に移行することになりました。
 
東京電力は、福島第一原発の「トレンチ」と呼ばれる地下のトンネルに流れ込んだ高濃度の汚染水について、当初、一部を凍らせてせきとめたうえで汚染水を抜き取り、セメントで埋める計画でした。
しかし作業が難航しているため、東京電力は汚染水が入った状態のままセメントを流し込み、トレンチを埋める作業と汚染水を抜き取る作業を並行して進めることも検討しています。
3日開かれた原子力規制委員会の専門家会合で、東京電力は、当面は氷の隙間にセメントを詰めて汚染水をせき止める作業を進める方針を示しました。
これに対して規制委員会の更田豊志委員は「これまでの対策がうまくいかないなら見切りをつけてほかの対策に移行するべきだ」と述べ、議論の結果、来月上旬までは東京電力が今回示した対策を行ったうえで、うまくいかない場合はセメントを流し込む方法に移行することになりました。
福島第一原発では汚染水対策の一環として1号機から4号機の周囲の地盤を凍らせて建屋への地下水の流入を防ぐ「凍土壁」の建設が進められていて、トレンチの対策の遅れが建設に影響することが懸念されていますが、東京電力は「凍土壁の建設に影響はない」としています。