環境省は30日、原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設をめぐり、候補地の宮城県栗原、大和、加美の3市町での現地調査について、10月以降の着手でも「11月中下旬の降雪前に終えられる」と考えていることが分かりました。また3市町への調査の事前告知は済んでいるとの考え方です。
◇ ◇
政府は、使用済み核燃料など原発から出る高レベル放射性廃棄物の、最終処分地選定の具体策を検討する専門家会議を、経済産業省の総合資源エネルギー調査会に設ける方針を決めました。既に国の作業部会が示した「火山から15キロ圏内」「活断層周辺」などの不適条件に加え、処分有望地の具体的な要件や基準を作るもので、改定の時期は定めないとしています。
◇ ◇
福島県川俣町小綱木地区の住民572人(全住民の94%)は30日、東電に月額10万円の精神的損害賠償の支払いを求め、裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てました。同地区は除染終了後に町が住宅周辺で放射線量を測定したところ、高さ1メートルで平均毎時0.42マイクロシーベルトとなったので、「安心できる数値ではない」と主張し、申し立てに踏み切ったものです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
最終処分場 現地調査、今月着手も可 環境省
河北新報 2014年10月1日
福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設をめぐり、環境省は30日、候補地の栗原、大和、加美の3市町での現地調査について、当初予定していた9月着手が10月に1週間程度ずれ込んでも問題はないとの見解を示した。作業手順を効率化することで調査期間を短縮できるという。
調査は地下水、地質など十数項目。掘削が必要で10日程度かかる項目もあるが、候補地間で効率的に機材を使うことなどで、3候補地全体の調査期間を1カ月半弱に短縮できると判断した。同省の担当者は10月以降の着手でも「11月中下旬の降雪前に終えられる」と説明する。
現地調査に関しては井上信治前副大臣が「物理的に9月下旬がデッドラインになる」と発言。同省は9月中の着手に向けて準備を進めていた。
3市町などへの事前告知について、同省担当者は「前副大臣が既に8月に詳細調査着手を3市町に伝えており、あらためて調査時期を知らせる必要はない」と話している。
高レベル廃棄物最終処分地選定 専門家会議設置へ
河北新報 2014年10月1日
原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分をめぐり、政府は30日の関係閣僚会議で、処分地選定の具体策を検討する専門家会議を経済産業省の総合資源エネルギー調査会に設ける方針を決めた。当初、今春としていた最終処分基本方針の新たな改定時期は示さず、選定プロセスは実質的に後退した。
専門家会議は、総合エネ調で既設の放射性廃棄物ワーキンググループ(WG)か新設WGで実施する。既に国の作業部会が示した「火山から15キロ圏内」「活断層周辺」などの不適条件に加え、輸送環境や人口密度など社会的側面からも検討し、処分有望地の具体的な要件や基準を作る。
処分地選定には事業への全国的な理解が不可欠なため、全国知事会などの地方団体や各自治体と意見交換する場を設ける方針。専門家会議や地方との協議を経た後、基本方針を改定する。
経産省資源エネルギー庁は「しっかりと意見を聞くため改定時期は定めない」と説明している。
関係閣僚会議は昨年12月に初めて開かれ、今回で2回目。最終処分事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)の近藤駿介理事長が8月の記者会見で「閣僚会議が年1回(ペース)はおかしい」と述べるなど、「国が前面に立つ」(安倍晋三首相)との姿勢が見えない状況に、不満の声も出ている。
精神的賠償求めADR申し立て 川俣町小綱木地区の住民572人
福島民報 2014年10月1日
川俣町小綱木地区の住民572人は30日、東京電力に福島第一原発事故に伴う月額10万円の精神的損害賠償の支払いを求め、原子力損害賠償紛争解決センターに裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てた。同地区の全住民605人のうち94%が参加している。
小綱木地区は同町南部に位置し、原発事故で避難区域となった同町山木屋地区と飯舘村に隣接している。町が除染終了後に地区内の住宅周辺で放射線量を測定したところ、高さ1メートルで平均毎時0.42マイクロシーベルトとなった。住民は「安心できる数値ではない」と主張し、申し立てに踏み切った。
健康不安に対する賠償額は避難区域の住民に支払われている慰謝料と同額が妥当だとして、原発事故が起きた平成23年3月にさかのぼって請求した。
住民代表と代理人の弁護士は申し立て後、東京地裁と県庁で記者会見した。東京地裁では、小綱木地区原発事故被災者の会の清野賢一会長(67)が「住民は病気への恐怖と不安を持っている」と訴えた。