2014年10月17日金曜日

福島農家 原状回復請求|東海第二制御棒ローラー紛失|もんじゅ代替カメラで監視復旧

 原発事故で農地が放射性物質に汚染され福島県の農家814日、東電に農地の原状回復を求め提訴しました。ADRでは埒が明かなかったためで、農地の原状回復を求める訴訟は初めてということです
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 東海第二原発(東海村)で、炉心に挿入する制御棒からローラー個がなくなっているのが分かりました。なくなったローラーは直径約八ミリの球で、制御棒1本当たり四個付いています2009月の定検開始以前になくなった可能性が高いということです
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 高速増殖炉もんじゅの監視カメラ計180基の約3分の1が故障していた件で、日本原子力研究開発機構は、「緊張感を持って対応し切れていない表れで、深く反省している」と規制委に陳謝しました。その上で代替カメラを仮設し監視機能が復旧していることを明らかにしました。 
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農地原状回復求め提訴 福島の農家ら、東電に
東京新聞 2014年10月15日
 東京電力福島第一原発事故で農地が放射性物質に汚染されたとして、福島県の農家八人と農業法人一社が十四日、東電に農地の原状回復を求め、福島地裁郡山支部に提訴した。原告側弁護士は、原発事故で農地の原状回復を求める訴訟は初めてとしている。
 
 訴状によると、農家らは、原発事故で農地が汚染されたため安全、安心な農作物を作ることができなくなり、消費者との信頼関係を失ったと主張。土壌中のセシウム137の濃度を事故前と同程度の一キログラム当たり五〇ベクレル以下にすることを東電に求めている。
 原告らの農地周辺では、事故前はセシウム137の濃度が最大同四五・四ベクレルだったが、事故後に原告らの農地を測定したところ、最大で同一万六二〇〇ベクレルと上昇した。
 原告の一部は裁判外紛争解決手続き(ADR)で、東電に農地の原状回復の費用を請求したが、東電は「放射性物質の除染は国が行うことになっている」として請求を認めなかったことから、今回の提訴に踏み切った。
 同県郡山市で記者会見した原告団長の鈴木博之さん(64)は「自分の農地を汚れたまま後継者に譲るわけにはいかない。このままでは死んでも死にきれない」と話した。
 
 
制御棒のローラー紛失 東海第二原発 容器内に落下か
 東京新聞 2014年10月16日
 日本原子力発電(原電)は十五日、東海第二原発(東海村)で、炉心に挿入する制御棒から金属製のローラー一個がなくなっているのが分かったと発表した。
 制御棒は、原子炉内の核分裂を調節し、出力調整や停止などの運転を行う。沸騰水型の東海第二原発では、ウラン燃料の集合体の間に下から差し込む。
 なくなったローラーは直径約八ミリの球状で、コバルトを主成分とした合金製。制御棒を動かす時、燃料集合体との摩擦を減らすため、一本当たり四個付いている。
 原電によると、九日の炉内の点検作業で、なくなっているのが分かった。二〇〇九年九月の定期検査開始以前になくなった可能性が高いという。原子炉圧力容器や格納容器内に落ちた可能性もある。原電はローラーを探すとともに原因を調査している。
 原電は、今回の事案について、原子力規制庁、県、東海村に説明した。 (林容史)
 
 
代替カメラでもんじゅ監視機能復旧 故障問題で原子力機構が陳謝
福井新聞 2014年10月16日
 高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の監視カメラ計180基の約3分の1が故障していた問題について、日本原子力研究開発機構の斎藤伸三副理事長は15日の原子力規制委員会の定例会合で「緊張感を持って対応し切れていない表れ。深く反省している」と陳謝した。その上で「今は映像を監視できる状況になっている」と述べ、代替カメラを仮設し監視機能が復旧していることを明らかにした。 
 
 原子力機構によると、故障を確認した監視カメラは56基あり、今は製造されていないため11月までに後継機器に交換する。残りの124基も来年1月までにすべて取り換える。9月に規制庁の保安検査で指摘を受けたため、交換が完了するまで別型の固定カメラを設置し今月2日に監視機能を復旧させたとしている。 
 この日の規制委会合では、もんじゅ担当の田中知委員が監視カメラの故障問題に触れ「保守管理の観点から適切な状態になったのか、心配される」と指摘。規制庁の保安検査結果を今後受けるとした上で「改革を進めていく中で現場で日々の具体的活動がしっかり行われることが重要」と注文した。 
 田中俊一委員長は原子力機構全体の改革状況に関し「能力が十分に発揮されているとは見えない」と苦言を呈した。原子力機構の松浦祥次郎理事長は「安全研究の能力がかなり低くなっているとしか言いようがない状況。どう回復するかは重要な問題で、徐々に向上する方向で進めていきたい」と応じた。 
 監視カメラは、もんじゅの2次系冷却材のナトリウムが漏れた場合に現場状況を確認する機器。原子力機構によると、製造終了の影響で2013年2月に14基が故障して以降、補修が困難となった。同年11月に後継機器を選定し、取り換えは本年度予算での対応となったとしている。