南相馬市の特定避難勧奨地点(142地点、152世帯)について、政府は24日、10月中としていた指定解除を先送りする方針を、高木経産副大臣が同市を訪れ、桜井勝延市長に伝えました。高木氏は住民に放射線量への不安が根強いことを理由に「不安を丁寧に解消する姿勢が必要」、「一人一人から声を聞き、解除日を決めたい」と述べました。
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指定廃棄物の最終処分場建設に向け、環境省がボーリング調査の準備を開始した24日、加美町では地元住民が激しい抗議活動を展開したため、環境省は作業への取り掛かりを断念しました。猪股洋文町長は「候補地になったことがどれだけ不安を与えているか、国は全く考えていない。住民には知る権利があり、怒るのは当然」と強調しました。
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環境省は25日、加美町で準備作業に着手しようとしましたが住民の反発を受け、2日連続で撤収しました。残る栗原市と大和町では反対運動はありませんでしたが、環境省は、加美町で開始できなければ、作業着手は難しいとみています。
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南相馬・勧奨地点の避難解除先送り 相次ぐ住民の反発で
福島民友ニュース 2014年10月25日
東京電力福島第1原発事故に伴う南相馬市の特定避難勧奨地点(142地点、152世帯)について、政府は24日、10月中としていた指定解除を先送りする方針を示した。
月内解除に住民から反発が相次ぎ方針を変えた。原子力災害現地対策本部長の高木陽介経済産業副大臣が同市を訪れ、桜井勝延市長に伝えた。
高木氏は住民に放射線量への不安が根強いことを理由に「不安を丁寧に解消する姿勢が必要」と説明。「一人一人から声を聞き、解除日を決めたい」とした。国は今月中にも市役所に相談窓口を設けて希望世帯の追加除染を行うほか、指定世帯を訪問して不安の解消に努める。桜井市長は「延期を判断したことは評価したい。住民不安の払拭(ふっしょく)に全力を傾けてほしい」と語った。
処分場調査阻止 加美町民、国の姿勢批判
河北新報 2014年10月25日
指定廃棄物の最終処分場建設に向け、環境省が県内の候補地でボーリング調査の準備を開始した24日、加美町田代岳地区では地元住民が激しい抗議活動を展開した。環境省は午前と午後の2度、作業に取り掛かろうとしたが、住民の抵抗を前に断念した。
環境省が24日早朝、候補地の約500メートル手前の道路にロープを張ったことが発端だった。立ち入りを拒む国の対応に反発した住民約30人が「調査断固反対」と書いた横断幕やのぼりを掲げて座り込み、道路をふさいだ。
座り込みは午後3時まで続いた。候補地に向かう環境省職員の前に立ちふさがり、「環境省は帰れ」「絶対に調査はさせない」と抵抗した。
地元46団体でつくる反対グループ会長の高橋福継さん(72)は「どんな調査か確認することも許されないのか。思い上がりも甚だしい」と憤る。田代岳に近い寒風沢行政区の区長早坂源太郎さん(75)も「国のやり方はだまし討ち。住民の声に全く耳を貸さない」と怒りをあらわにした。
猪股洋文町長は「候補地になったことがどれだけ不安を与えているか、国は全く考えていない。住民には知る権利があり、怒るのは当然」と強調した。
他の候補地の栗原市深山嶽、大和町下原の両地区では激しい抗議活動はなく、環境省は下草刈りなどボーリング調査に向けた準備を開始した。
2日連続で調査入れず、宮城 処分場候補地、住民反発で
東京新聞 2014年10月25日
環境省は25日、東電福島第1原発事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場建設に向けたボーリング調査のため、宮城県内の候補地3市町のうち加美町で準備作業に着手しようとしたが、住民の反発を受け撤収した。作業見合わせは2日連続。
環境省は、加美町で開始できなければ、残る栗原市と大和町でも作業着手は難しいとみている。
環境省職員らは午前8時半すぎ、候補地の加美町田代岳に入ろうとしたが、入り口付近で反対派住民が「候補地に適していない」とする抗議文を読み上げ制止。同省職員は「調査を継続するか本省に判断を仰ぐ」として引き下がった。今後の作業着手時期は未定。 (共同)