2014年10月22日水曜日

福島廃炉工程来春改定|海側井戸水でCs最高値|無断で処分場調査 に加美町抗議|無断調査は民意踏みにじる行為と塩谷町長

 政府と東電は、福島第一原発1~4号機の廃炉措置に向けた中長期ロードマップ(工程)を来年春をめどに改定することを明らかにしました。現在のロードマップは昨年6月に改定されたもので、1号機カバーの取り外し作業の遅れにより平成29年度中の使用済み燃料プールからの燃料取り出しが遅れる可能性が出るなど、見直しの必要性が高まっていました。
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 福島原発1、2号機護岸側にある観測用井戸の水から、放射性セシウムが1リットル当たり26万7000ベクレル検出され、過去最高値を更新しました。
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 宮城県加美町と栃木県塩谷町の町長が20日、環境省で小里泰弘副大臣と会い、事前通告せずに加美町で「指定廃棄物」最終処分場現地調査を始めたことに抗議しました。塩谷町の見形和久町長が、通告なしの調査が塩谷町でも行われれば「話し合いの場に立つことは難しくなる」と指摘したのに対して、小里氏は22日に塩谷町を訪れ、候補地を視察する意向を伝えました。
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 環境省が宮城県加美町に対し事前通告なしに現地の詳細調査に入ったことに対して、塩谷町公開質問状を提出しまし。その中で、「民意を踏みにじるような行為が公然と行われたことに憤りを感じる」とし、調査に踏み切った理由や、無断で行われた調査の法的根拠について説明を求めました。
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廃炉工程表来春改定へ 第一原発
福島民報 2014年10月21日
 政府と東京電力は、東電福島第一原発1~4号機の廃炉措置に向けた中長期ロードマップを来年春をめどに改定する。20日、福島市で開かれた廃炉・汚染水対策福島評議会で、政府の原子力災害現地対策本部長を務める高木陽介経済産業副大臣が明らかにした。
 今回の見直しは、8月に発足した原子力損害賠償・廃炉等支援機構が策定する「戦略プラン(仮称)」の内容を反映する。
 戦略プランの策定に向けて、機構は溶融燃料(燃料デブリ)の取り出しと廃棄物対策、建屋内への止水の3分野について、分野別の検討会を開催する。専門分野ごとに機構の廃炉技術委員会をはじめ、東電や協力企業、政府機関から構成員を選定し、考えを取りまとめる。
 さらに、福島評議会に参加する福島第一原発周辺の市町村長や有識者らが提案したロードマップへの指摘、要望を盛り込む。評議会では作業工程の細分化や具体化、明解な進捗(しんちょく)状況の説明などを求める声が出ていた。
 ロードマップの見直しについては、1号機カバーの取り外し作業の遅れにより平成29年度中の使用済み燃料プールからの燃料取り出しが遅れる可能性が出るなど、廃炉作業の進捗状況や廃炉に関する研究開発の成果などに応じた見直しの必要性が高まっていた。現在のロードマップは昨年6月に改定された。
 
 
セシウム再び最高値更新 海側井戸で上昇傾向続く
福島民友ニュース 2014年10月21日
 東京電力は20日、福島第1原発1、2号機海側の護岸にある観測用井戸の水から、放射性セシウムが1リットル当たり26万7000ベクレル検出されたと発表した。護岸では同じ井戸で16日に採取した水の26万4000ベクレルを上回り、過去最高値を更新した。
 地下水は17日に採取した。13日の採取分以降、上昇傾向が続いている。この井戸は原発事故の直後に高濃度汚染水が漏れたトレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)の近くにあり、東電は台風18、19号の降雨の影響で汚染水が拡散したとみている。
 
 
処分場候補 通告せず調査 加美町、国に抗議
東京新聞 2014年10月21日
 東京電力福島第一原発事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場候補地に選ばれた宮城県加美町と栃木県塩谷町の町長が二十日、環境省で小里泰弘副大臣と会い、事前通告せずに加美町で現地調査を始めたことに抗議した。
 塩谷町の見形(みかた)和久町長は、通告なしの調査が塩谷町でも行われれば「話し合いの場に立つことは難しくなる」と指摘。これに対し小里氏は、二十二日に塩谷町を訪れ、候補地を視察する意向を伝えた。
 加美町の猪股洋文町長は調査中止と候補地の白紙撤回を求めた。小里氏は「環境省は町と対立する存在ではない。意思の疎通を図っていきたい」と答えた。
 環境省は、宮城県内では加美町のほか、栗原市と大和町も候補地としている
 
 
「民意踏みにじる行為」 塩谷町長 国への対抗姿勢強める
東京新聞 2014年10月21日
 高濃度の放射性物質を含む「指定廃棄物」の最終処分場候補地の宮城県加美町(かみまち)に対し、環境省が事前通告なしに現地の詳細調査に入ったとして二十日、同じく栃木県内で候補地を抱える自治体として抗議の意味も込めた公開質問状を同省に提出した塩谷町の見形(みかた)和久町長。現在も詳細調査に反対する塩谷町は、加美町のように調査を強行されることを警戒し、国への対抗姿勢を強める構えだ。 (大野暢子)
 
 質問状で見形町長は、環境省による加美町への調査着手について、「民意を踏みにじるような行為が公然と行われたことに憤りを感じる」と批判。調査に踏み切った理由や、無断で行われた調査の法的根拠について説明を求めた。
 宮城県内では加美町のほか、栗原市、大和町(たいわちょう)も候補地に選ばれている。国はこの三市町でボーリング調査や地下水の観測をした上で、正式な候補地を一カ所に絞り込む方針。栗原、大和の二市町は詳細調査の実施を受け入れたが、加美町は拒否していた。
 宮城県での詳細調査をめぐっては、栗原市と大和町には調査前に国から連絡があったことが判明。環境省側は、小里泰弘環境副大臣が九月に就任後、宮城県を訪問し、準備が整い次第、調査を始めると通告したと主張している。
 加美町以外の候補地に事前連絡をした点については事実と認め、国の職員が候補地に入る際、町道や市営牧場を通る必要があり、事前の手続きが必要だったとしている。
 
 こうした動きに対し、塩谷町の見形町長はこれまで、「地元の理解なしには詳細調査に入らないことを環境省と約束した」と説明し、町民の不安を静めてきた。しかし、加美町で詳細調査が始まったため、地域には「塩谷町でも前触れなく調査が始まるのでは」との臆測が広がっている。
 塩谷町の指定廃棄物問題担当者は「宮城県で近く詳細調査があるという情報は前々からあったが、まさか加美町で調査を強行するとは」と怒りをにじませ、「われわれも本格的に加美町と共闘しなければいけない」と危機感を語った。