2014年12月20日土曜日

経産省が原発建て替え(リプレース)推進の意向

 自民党は先の総選挙で原発の新増設や建て替えについては何も明言しませんでしたが、経産省は17日、「原発の建て替えを認めなければ電力会社や立地自治体が廃炉を判断しにくい」という身勝手を絵に描いたような理由で、原子力政策を策定する有識者会合に「建て替えの実施に留意する必要がある(要旨)」との提案をさせる方向であることが分かりました。
 有識者会合のメンバーは経産省が決めているので、その提案が否決されることはありません。
 
 原発が廃炉になると立地自治体に支払われる「電源3法交付金」が打ち切られるので、立地自治体などから廃炉後の経済支援や原発建て替えを求める声が上がっていることもその背景にあるということです
 
 何のことはない、原子力村の原子力村による原子力村のための、「原発の完全解禁」というわけです。
 
 原発に経済的利点は何もないというのが世界の常識なのに、経産省や立地自治体を含めた「原子力村」としては、数十年来吸い続けてきた甘い汁と離別することはとても出来ないということのようです。
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経産省:原発建て替え検討 有識者会合の中間整理案
毎日新聞 2014年12月18日
◇建て替えは「老朽原発廃炉と同時に新たな原発建設する手法」
 経済産業省は17日、原子力政策の方向性を議論している有識者会合で年末にまとめる中間整理の中に、原発の建て替え(リプレース)を検討事項として盛り込む方向で調整に入った。安倍政権は原発再稼働を推進する一方、国民の批判を懸念して、14日投開票の衆院選公約でも原発の新増設や建て替えの可否について明言を避けてきた。総選挙直後に突然、原発建て替えの検討を始めることで「選挙での争点隠し」との批判を浴びる可能性がある。
 
 中間整理をまとめるのは経産省の総合資源エネルギー調査会原子力小委員会。中間整理案では、安倍政権が掲げる「原発依存度を可能な限り低減する」方針を達成するためには、「廃炉に見合う供給能力の取り扱いを含めた原子力の将来像が明らかでなければ、電力会社や立地自治体が廃炉を判断しにくい」と建て替え了承の必要性を指摘。今後の原子力政策で「留意する必要がある」とした。
 
 建て替えは、老朽原発の廃炉と同時に新たな原発を建設する手法で、中間整理案は「廃炉に見合う供給能力」と直接的な表現を避けつつ、原発の建て替えに触れた。再稼働手続きで先頭を走る九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)では原子力規制委員会による工事計画の審査が続いており、「原発が1基も再稼働していない中、原子力規制委の頭越しに直接的な表現では建て替えの話を持ち出しにくい」(関係者)との判断があったとみられる。
 
 政権は原発依存度の低減に向け、2016年7月に運転開始40年超となる関西電力美浜原発1、2号機(福井県)など7基の廃炉の早期判断を促している。しかし廃炉になると立地自治体に支払われる「電源3法交付金」が打ち切られ、立地自治体などから廃炉後の経済支援や原発建て替えを求める声が上がっていた
 
 原発建て替えを巡っては、中部電力が08年に浜岡原発1、2号機の廃炉とともに決定した6号機の新設計画が中断。また、福島第1原発事故以前は、関電美浜1号機の建て替えや、日本原電敦賀原発3、4号機(福井県)の新増設が検討されていた。政府が建て替えを認めれば、こうした原発の建設計画が動き出すとみられる。【中井正裕】