電源開発は青森県に建設中の大間原子力発電所について、運転開始に必要な安全対策の審査を原子力規制委員会に申請しました。
ついに建設中の原発まで稼動させる事態に至りました。
新規制基準への対応としては、基準地震動を当時の450ガルから650ガルに僅かに引き上げて、必要な配管の補強工事を行うなどするだけです。
原発は危険なだけで経済的にも何のメリットもないというのに、原子力村は電気料金に仮託されている莫大な利益享受の旨みから離れられないようです。
大間原発を巡っては、半径30キロ圏に位置する函館市が「事故になれば大きな被害を受ける」として、ことし4月建設中止を求める訴えを起こしていますが、国も電力も全く意に介していません。
その上、大間原発は使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを混ぜた「MOX燃料」を原子炉の「すべて」に使う世界で初めての商業用原発です。
MOX燃料は通常のウラン燃料と比べて、核分裂反応を止めるときに使う「制御棒」の効きが悪くなるし、万が一、事故が起きた場合、放射性物質の中でも人体への毒性が強いプルトニウムが環境中に大量に放出されるおそれがあります。
原子力規制委の田中委員長は、個人的な見解と断ったうえで、「世界でも経験がなく、しっかりとしたデータをとってそれから判断すべきだ。今の日本でやるのは、一般論として非常に難しいと思う」と、去年6月に否定的な見解を述べました。
しかしこの人の言うことは、先に川内原発の再稼動で自分たちで決めた火山条項をないがしろにし、それを記者会見で追及されると安部首相まがいの驚くようなキレ方を見せていたので、何処まで信用できるのかは全く不明です。
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大間原発 安全対策の審査を申請
NHK NEWS WEB 2014年12月16日
青森県に建設中で、北海道函館市が建設の差し止めを求めて国などを訴えている大間原子力発電所について、事業者の電源開発は、運転開始に必要な安全対策の審査を、16日、原子力規制委員会に申請しました。
建設中の原発で、新しい規制基準に基づく審査が申請されるのは初めてです。
原子力規制委員会に審査の申請が行われたのは青森県大間町に建設中の大間原発で、16日午前、電源開発の幹部が申請書を提出しました。
大間原発は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを混ぜた「MOX燃料」を原子炉のすべてに使う世界で初めての商業用原発です。
東京電力福島第一原発の事故の影響で中断されていた建設工事がおととし10月に再開され、電源開発は、原発の新しい規制基準に適合するために、最大規模の地震による揺れの想定を建設許可が出された当時の450ガルから650ガルに引き上げ、必要な補強工事を行うなど、安全対策を強化するとしています。
大間原発を巡っては、半径30キロ圏に位置する函館市が「事故になれば大きな被害を受ける」として、ことし4月、国と電源開発に建設中止を求める訴えを東京地方裁判所に起こしています。
電源開発の永島順次常務執行役員は「安全性の強化対策を十分検討して申請した。引き続き安全性を強化し、平成33年度の運転開始を見込んでいる」と話しています。
新基準に基づく審査の申請はこれで14の原発の21基となり、建設中の原発では初めてです。
フルMOXの安全性は
大間原発は、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混ぜた「MOX燃料」だけを使って運転する、いわゆる「フルMOX」の原発です。
MOX燃料は通常のウラン燃料と比べて、核分裂反応を止めるときに使う「制御棒」の効きが悪くなるなどの特徴があります。
また、万が一、事故が起きた場合、放射性物質の中でも人体への毒性が強いプルトニウムが環境中に大量に放出されるおそれがあり、安全性を懸念する指摘があります。
国や電力業界はMOX燃料を通常の原発で燃料の一部に使う「プルサーマル発電」を進めてきましたが、地元の反対などでこれまでに実施されたのは全国で4基の原発だけで、「フルMOX」の原発は世界でも例がありません。
大間原発について、原子力規制委員会の田中委員長は去年6月の会見で個人的な見解と断ったうえで、「世界でも経験がなく、しっかりとしたデータをとってそれから判断すべきだ。旧原子力安全・保安院は建設を認めたが、もう少し考える余地があり、今の日本でやるのは、一般論として非常に難しいと思う」と述べ、否定的な見解を示していました。
先月の会見でも「相当慎重に評価することになると思う」と述べ、慎重に審査する姿勢を改めて示しています。
函館市「稼働ありきの申請は遺憾」
電源開発が大間原発の安全対策の審査を申請したことについて、函館市は「いまだ住民の不安に対する説明責任を果たそうとせず、原発稼働ありきの申請は誠に遺憾で、今後も裁判を通じて建設差し止めを求めいく」とコメントしています。
大間町長「歓迎したい」
大間原発の建設を進める電源開発が原子力規制委員に審査を申請したことについて、地元の青森県大間町の金澤満春町長は「ようやく安全審査の申請が行われ、大間原発を誘致した町としては歓迎すべきことだと思っている。原子力規制委員会に安全だということをきちんと評価してもらったうえで計画どおりに進めてほしい」と話していました。