福島民報社は19日から、福島県内59市町村長を対象に安倍政権の評価を聞くアンケートを実施し、相馬市長を除く58市町村長から回答を得ました。
福島原発の廃炉と汚染水対策について「国が前面に立って責任を果たす」と公言した安倍首相の対応について、27人(46%)が「責任を果たしていない」と答えたのに対し、「責任を果たしている」は4人(6%)にとどまりました。(あとは分からない16人、その他10人など)
安倍政権発足後の復興状況については、「一部加速した」が最多の31人(53%)で、「加速していない」18人(31%)、「加速した」5人(8%)、「分からない」3人(5%)でした。
「アベノミクス」の地方経済への好影響については、「実感していない」が過半数の36人(62%)、「今後も実感できないと思う」が4人(6%)で、7割近くの市町村長が厳しい見方を示しました。
註 原記事には回答毎の地町村名が表になっていますが、コピーできない形式のため省略しました。
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安倍政権の原発事故対応「責任果たさず」半数 県内市町村長
本社アンケート
福島民報 2014年11月30日
衆院解散を受け、福島民報社は県内59市町村長を対象に、安倍政権の評価を聞くアンケートを実施した。東京電力福島第一原発事故への国の対応について、ほぼ半数の27人が「責任を果たしていない」とみている。汚染水対策などで成果が出ていない点を指摘する声が目立った。一方、県内の復興が「加速した」「一部加速した」と感じているのは36人で全体の6割を占めた。
安倍晋三首相が21日の解散を明らかにした19日から調査した。立谷秀清相馬市長を除く58市町村長が回答した。
福島第一原発の廃炉と汚染水対策について「国が前面に立って責任を果たす」と公言した安倍首相の対応についての回答は【表(1)】の通り。27人(46%)が「責任を果たしていない」と答えたのに対し、「責任を果たしている」は4人(6%)にとどまった。
責任を果たしていないと回答した市町村長からは、廃炉作業や汚染水対策でトラブルが後を絶たない現状を踏まえ、「結果を出してこそ責任を果たしたことになる」との意見が多かった。「万全な汚染水対策が確立されていない」(伊沢史朗双葉町長)、「全て東電任せ」(古張允矢祭町長)、「国の姿が見えてこない」(鈴木和夫白河市長)などの指摘もあった。
新野洋二本松市長は「以前より進捗(しんちょく)状況は見える」と国の取り組みを評価し、「国が責任を果たしている」とした。
安倍政権発足後の各市町村における復興状況についても聞いた。回答は【表(2)】の通り。「一部加速した」が最多の31人(53%)で、「加速していない」18人(31%)、「加速した」5人(8%)、「分からない」3人と続いた。約1年前に福島民報社が実施した調査(57人回答)に比べ、「加速していない」が7人減少し、「加速した」が2人、「一部加速した」が5人、それぞれ増えた。
原発事故に伴い避難区域が設定された12市町村では、南相馬市を除く11市町村長が「加速した」または「一部加速した」と答えた。除染、原子力損害賠償などが加速したと評価している。一部加速したと答えた宮本皓一富岡町長は今後の復興に向け、「健康管理や避難者支援などあらゆる分野を加速させてほしい」と注文を付けた。
多くの避難者を受け入れている都市部の清水敏男いわき市長や小林香福島市長らは、災害公営住宅や、子育て環境施設の整備などが進んだとした。
一方、「加速していない」と回答した18人のうち半数の9人が会津地方の市町村長だった。原発事故の影響で観光などで被害を受けており、実効性のある対策を求める声が多かった。
■7割近く厳しい見方 アベノミクス地方への好影響
県内市町村長に対する福島民報社のアンケートでは、安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」についての考えも聞いた。地方経済への好影響について、「実感していない」が過半数の36人(62%)、「今後も実感できないと思う」が4人(6%)で、7割近くの市町村長が厳しい見方を示している。
回答は【下表】の通り。実感していないと回答した桜井勝延南相馬市長は「復興関連事業以外の事業者は活性化していない」と分析する。今後も実感できないと思うと答えた馬場有浪江町長は「東京一極集中が見受けられる。地方の隅々まで(アベノミクスによる)好サイクルする、きめ細かな施策が必要」とみている。
一方、「今後、実感できると思う」は11人にとどまった。馬場孝允昭和村長は「地方においては実感できるまでの(アベノミクスによる)影響は出ていないが、株価の推移から今後に期待したい」との見解だ。
地方経済への好影響を「実感している」は大和田昭小野町長のみで「景気や雇用の回復が徐々にではあるが感じられる」としている。