2014年12月28日日曜日

福島 トレンチの閉塞結局できず|原発賠償 ADR申し立てが増加

 福島原発2号機海側のトレンチに高濃度汚染水がたまっている問題で、東電は広い範囲を特殊なセメントで埋めたものの、隙間が残り閉塞できませんでした。隙間ができたのは「セメントが固化すると収縮する特性のため」ということです。今後収縮・ひび割れを抑制するセメントの材料や施工方法なを来年1月末までに決め、作業に着手したいということです
 固まるときに収縮する特性があるのであれば、なぜ初めからその対策を採らなかったのでしょうか。年が明けてマゴマゴしていればトレンチの閉塞に取り掛かってから1年が経ちます。日本の対処レベルは信じられないほど低いのでしょうか。
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 福島原発事故の損害賠償をめぐり、被災者と東電の和解を仲介する原子力損害賠償紛争解決センターへのADR申立件数が増加し平成24年から毎年4千件を超え、今年は避難区域の住民らによる集団申し立てが相次いでいるため5千件に迫ります。和解に至ったのは申立総件数の66%にとどまり、迅速な被災者救済につながらないケースも目立ちます
 ADRの調停額が裁判判決の数分の1というレベルであることが毎日新聞によって暴露されましたが、東電側にではなく、被災者側に寄り添った判断が示されて欲しいものです。
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トレンチにわずかな隙間 第1原発2号機、閉塞作業終了
 福島民友ニュース 2014年12月27日
 東京電力福島第1原発2号機海側の電源ケーブルなどが通る地下道(トレンチ)に高濃度汚染水がたまっている問題で、東電は26日、トレンチの横方向に延びる部分を特殊なセメントで埋めたものの、わずかに隙間が残り、水が行き来するのを確認したと発表した。同日開かれた原子力規制委員会の会合でも説明した。
 東電は、11月下旬から流し込んだセメントの効果を見るため、立て坑4カ所のうち2カ所で汚染水をくみ上げ、水位に差が生じるかを確認した。うち立て坑1カ所でくみ上げ前より水位が約40センチ上昇するなどした。隙間ができたことについて東電は「セメントが固化すると収縮する特性のため」としている。ただ、この作業でトレンチにたまっていた高濃度汚染水約5000トンのうち約2500トンの抜き取りを終了した。
 東電は今後、立て坑を埋めることでタービン建屋からの汚染水の流れを完全に遮断する考え。ひび割れを抑制するセメントの材料や施工方法などの基本方針を来年1月末までに決め、作業に着手したい考え。
 
 
原発賠償 ADR申し立てが増加 11月末現在4825件
福島民報 2014年12月27日
 東京電力福島第一原発事故の損害賠償をめぐり、被災者と東電の和解を仲介する原子力損害賠償紛争解決センターへの裁判外紛争解決手続き(ADR)申立件数が増加している。平成24年から毎年4千件を超え、今年は5千件に迫る。避難区域の住民らによる集団申し立てが相次いでいるためだ。一方、和解に至ったのは申立総件数の66%にとどまり、迅速な被災者救済につながらないケースも目立つ。
 
 受け付けを開始した平成23年は9月からの4カ月間で521件だったが、福島、会津若松、いわき、南相馬の4市に支所が開設された24年は4542件と一気に増えた。25年は4091件にとどまったが、今年は11月末までに、昨年1年間を734件上回った。
 従来は個人が除染費用や自主避難に要した経費などを求める案件が目立った。最近では避難区域をはじめ比較的放射線量の高い自治体、行政区が精神的賠償の増額などを求める集団申し立てが増えている。
 居住制限区域となった飯舘村蕨平地区の住民による申し立てでは、センターが住民側の主張を全面的に受け入れ、「帰還困難区域と同等に財物賠償すべき」などとする和解案を提示した。こうした事例を受け、他の地域の住民に、被災者側に寄り添った判断が示される-という期待感が広がっているとみられる。
 福島大の教員でつくる「原発賠償ADR研究会」共同代表の高瀬雅男名誉教授(69)は「住民に有利な和解案が提示されていることが、申し立て増加の要因」と分析。原発事故による避難生活は長期化しており、今後も申し立ては増えるとみている。