東京新聞 2014年12月23日
日本原子力研究開発機構は二十二日、大量の機器点検漏れにより事実上の運転禁止命令が出ている高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、新たに約六千五百点の未点検機器が見つかったと明らかにした。機構は「既に点検などは終わり、安全管理ができた状態だ」としている。
機構は同日、未点検の報告と併せ、命令解除に必要な保安規定の変更申請と、機器の保全計画を見直す報告書を原子力規制委員会に提出。規制委が今後、四半期ごとの保安検査などで内容を精査し、命令を解除できるか判断するが、解除が遠のく可能性が出てきた。
機構は当初、保安規定の変更などを十一月中に申請する予定だった。
機構は昨年九月時点で、点検漏れの機器を約一万四千点としていたが、規制委の指摘を踏まえ、これらを含む計五万点を対象に再確認したところ、一次系配管に関連する機器など六千四百九十六点が未点検だったことが分かったという。一方、記者会見したもんじゅ運営計画・研究開発センターの池田真輝典(まきのり)センター長代理は「命令解除に向けた保守管理体制は構築できた」と話した。
機構幹部が同日、福井県にも報告したが、対応した桜本宏県安全環境部長は「これ以上増えるようであれば、県民の信頼を完全に失いかねない」と批判した。
もんじゅは長期停止中だが、規制委が昨年五月、安全管理体制が整うまで運転再開に向けた準備を見合わせるよう命じた。原子力機構は、今年九月末までとしていたもんじゅの集中改革期間を半年間延長して命令解除を目指している。