風評被害で売り上げが落ちた茨城県西部の野菜農家約250人が、来年3月にも、裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てることが分かりました。農家による集団申し立ては異例ということです。
野菜農家は原発事故後、東電から賠償金を受け取っていましたが、2013年3月で賠償を打ち切られていたもので、今回ADRで求めるのは、打ち切り後の13年4月~今年6月の1年3カ月分の損害賠償で10数億~20億円規模になる見通しです。
いまなお東日本の各地で高度に放射能汚染されたキノコ類や野生動物たちが見つかっている状況下では、茨城県産の野菜類の売れ行きが落ちることは避けられません。100年後ならいざ知らず、わずか2年で「風評被害」がなくなるなどというのはあまりにも現実を無視した話です。
したがって電力会社や官庁がそれらを全て買い取るというのであれば話は別ですが、13年3月で補償を打ち切るという東電の考え方が誤っているのは明白です。
したがって電力会社や官庁がそれらを全て買い取るというのであれば話は別ですが、13年3月で補償を打ち切るという東電の考え方が誤っているのは明白です。
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茨城の農家、集団請求へ 原発風評被害、賠償継続を
東京新聞 2014年12月29日
東京電力福島第一原発事故による風評被害で売り上げが落ちた茨城県西部の野菜農家約二百五十人が、東電の損害賠償の継続を求めて来年三月にも、原子力損害賠償紛争解決センターに裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てることが分かった。農家による集団申し立ては異例。
申し立てを準備しているのは、坂東市や境町、八千代町などでキャベツ、レタス、ネギ、白菜などを生産する野菜農家。原発事故後、東電から賠償金を受け取っていたが、「事故から相当期間が経過し、業績が回復した」などの理由で二〇一三年三月分を最後に賠償を打ち切られていた。
窓口となっている原発被害救済茨城県弁護団によると、今回のADRで求めるのは、打ち切り後の一三年四月~今年六月の一年三カ月分の損害賠償。請求総額は十数億~二十億円規模になる見通しだ。
茨城県による定期的な検査では一二年以降、県産野菜から放射性セシウムは検出されていない。だが、農家からは「原発事故後に値下がりした地元野菜の価格はまだ戻っていない」といった指摘がある。
茨城県の農家らに対する東電の損害賠償打ち切りは一三年秋に二十数件が表面化。橋本昌知事は「不利な条件下で事業者は必死に取り組んでいる」と批判したが、東電側は争いがあればADRで和解する意向を示していた。
<裁判外紛争解決手続き(ADR)>
福島第一原発事故の訴訟を起こさず、損害賠償を東京電力に請求する手続きの一つ。国の原子力損害賠償紛争解決センターに申し立て、受理されると、弁護士などの仲介委員が双方の主張を聞いて和解案を提示する。