東京電力の諮問組織「原子力改革監視委員会」のデール・クライン委員長は、ロイターのインタビューで、柏崎刈羽原発の再稼働に向け、東電は原子力規制委員会による審査が終わった後に国外の原子力事業者によるチェックを受けるべきだとの考えを示しました。
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インタビュー:東電の原発再稼働、国外のチェックが適切=元NRC委員長
ロイター通信 2014年 12月 2日
[東京 2日 ロイター] 東京電力の原子力改革を監視する有識者による諮問組織、「原子力改革監視委員会」のデール・クライン委員長(元米国原子力規制委員長)は2日、ロイターのインタビューで、柏崎刈羽原発の再稼働に向け、東電は原子力規制委員会による審査が終わった後に、国外の原子力事業者によるチェックを受けるべきだとの考えを示した。
原子力の安全文化向上で、東電が海外企業と提携することはないのか、との質問に対し、クライン氏は「NRC(米原子力規制委員会)の元委員長として提案だが、規制当局にも優秀な技術者がいるが、彼らは事業者ではない。NRA(日本の原子力規制委員会)の審査が終わったら、他の事業者が来て、東電がオペレーションの準備ができていることをチェックしたらいい」と語った。
チェックに当たる事業者の例として、クライン氏は「サザン電力(SO.N: 株価, 企業情報, レポート)、エクセロン(EXC.N: 株価, 企業情報, レポート)、アリゾナ・パブリック・サービス」の米電力3社を挙げ、日本国外の事業者を念頭に置いている考え方をにじませた。
クライン氏は、「東電が(再稼働の)準備ができているかどうか、他事業者がチェックすれば、日本の国民も安心するだろう」と指摘した。
<作業員の処遇問題、東電に確認へ>
1日に東電本店で開いた第7回監視委員会で、クライン氏は福島第1原発の事故収束作業について「4号機の使用済み燃料を安全に取り出しに成功したことは高く評価する」などと発言した。
一方、福島第1原発の現場では、末端の作業員が過酷な労働環境の下で収束作業に当たっている。
9月には作業員と元作業員の4人が、危険手当など所定の賃金が支払われていないとして、東電と下請け会社を含む協力会社17社に対し損害賠償を求める裁判を起こしている。
訴状では「東電から下請け企業に対して支払われている危険手当は、末端の労働者には行き渡らず、中間搾取が放置されている」と主張している。
クライン氏はインタビューで、福島第1での作業員の状況について「次回の監視委員会で、東電に最新の状況について問うつもりだ」と述べた。
同氏は「東電は作業員を酷使しようとは考えていない。作業員を利用している中間業者がいるのだろう。東電には状況を改善する責任がある」と答えた。
(インタビュアー:ケビン・クローリキ、浜田健太郎)
(浜田健太郎 編集:田巻一彦)