安倍首相は1日の党首討論で「原発をすぐゼロにするという無責任なことはできない」と言いましたが、一体どこが無責任だというのでしょうか。
日本では福島原発事故で殆ど全ての原発を止めてから3年8カ月、昨年9月に大飯原発を止めてからは1年2カ月にわたって“原発ゼロ”が続いていて、何の問題も生じていません。
それなのに、関西電力は40年近く運転してきた高浜原発1、2号機を更に延長して運転しようとしています。家電でも40年以上も経過すれば危なくて使いません。
それを核分裂時に絶えず中性子アタックを受けている原子炉を更に延長して使おうというのですから正気とも思われません。しかしそれが現実に平然と進められています。
新しい原発規制基準では、40年が経過しても装置を点検して問題がなければ最大20年延長できるとされているということです。「世界一危険な基準」というほかはありません。
さらに再生エネルギー発電がようやく軌道に乗ろうとした矢先、送電線の余力がないとか、発電が不安手になるとかの理由で、電力各社が再生エネルギー:電力の買取を拒否するという事件がこの秋起こりました。再生エネルギーの比率がまだ2%かそこらに過ぎないのに、一体どういうことなのでしょうか。
ドイツでは既に再生エネルギーの比率が30%に達し、スペインでは50%以上、デンマークでは風力だけで41%に及んでいるというのにです。
外国で出来ることがなぜ日本ではできないのでしょうか。
しんぶん赤旗が「原発ゼロは実現できる 政治決断こそ責任ある道」と題する記事を載せました。
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原発ゼロ 実現できる 政治決断こそ責任ある道
しんぶん赤旗 2014年12月8日
安倍自公政権は、原発反対の国民多数の声に耳を貸さず、原発再稼働に躍起です。この暴走を許すのかどうか、大きな分かれ道の選挙です。日本共産党は、原発再稼働ストップ、「原発ゼロの日本」への転換を訴えています。(君塚陽子、三木利博)
再生エネの資源豊富
安倍首相は「(原発を)すぐゼロにするという無責任なことはできない」(1日、党首討論)と言います。
しかし日本では、昨年9月以来、1年2カ月にわたって“原発ゼロ”です。
日本共産党は、危険な原発再稼働をやめ、「即時原発ゼロ」を政治決断することがもっとも現実的で責任ある道だと訴えています。
原発に頼らず、「省エネの徹底と、再生可能エネルギーの計画的な大量導入で低エネルギー社会をめざす」ことを提案しています。
「3・11」以降、日本では、企業や家庭で省エネ・節電が進みました。減少した発電量は789億キロワット時、実に「原発13基」分にあたります。(2010年度と13年度の電力会社の総発電量の比較。原発1基100万キロワット、稼働率7割で換算)
産業総合技術研究所エネルギー技術研究部門の歌川学さんは「産業部門では、第2次石油ショック以降の1980年代に設備を導入しており、省エネ型に転換可能な設備も多い」と指摘します。
「省エネは『がまん』ではありません。この間の技術は日進月歩。設備投資をすればそれだけコストが減り、“元が取れる”のです」
主要な電源
太陽光や風力、小水力、バイオマスなどの再生可能エネルギーは燃料費がいらない「国産エネルギー」です。20年以上にわたって研究している和田武さん(元立命館大教授)は、日本の資源量の“豊かさ”を強調します。
「日本は太陽光に恵まれ、海岸線が長く風力に適し、地熱資源は世界第3位、水力資源も豊富、世界でも有数の森林国でバイオマスの可能性も高い」
日本での潜在量は、最近の年間発電量の4~5倍にもなることが分かっています。(環境省調べ)
欧州では、再生可能エネルギーが主要な電源として急速に伸びています。
福島原発事故を受け、2011年に「原発の早期廃止」に転換したドイツでは、再生可能エネルギーの総電力消費に占める割合が2000年の約6%から、14年前半には約30%にまで拡大しました。(グラフ)
スペインでは5割以上、デンマークでは風力だけで41%を占めています。各国とも高い導入目標を持ち、再生可能エネルギーの電気を固定価格で電力会社に買い取りを義務づける制度(FIT)を導入しているのが特徴です。
地域主役に
日本でも12年7月からFITが始まり、13年の年間発電量は181億キロワット時、「原発3基」分の電気が生まれました。
それでも総発電量に占める割合はたったの2・5%(13年)。
そんなわずかな日本の再生可能エネルギーにさえ、原発再稼働を急ぐ各電力会社は「計画が増えすぎ」と“買い取り保留”を通告しました。
和田さんは言います。「命や暮らしを危険にさらした原発に今後も依存するなんてとんでもありません。市民や地域を主役にした再生可能エネルギーには、地球温暖化防止、農山村の自立的発展、エネルギーの自給などさまざまな良い点があります。今こそ転換が必要です」
再稼働は危険で無謀
総選挙公約で自民党は、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ「活用してまいります」と、将来にわたって原発を使い続けることを宣言。原子力規制委員会の新規制基準に適合すれば「再稼働を進めます」と明記し、全国の原発再稼働の突破口として、九州電力川(せん)内(だい)原発(鹿児島県)の再稼働に前のめりです。
予知は無理
しかし、原発の再稼働はどこからみても無謀です。
巨大噴火の備えがありません。原子力規制委員会は、「予知は無理」と火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長らが指摘しているのにもかかわらず、“審査合格”にしました。しかし、日本火山学会の委員会はその後、審査に使われた火山影響評価ガイドを見直すよう求めており、審査が妥当だったかどうか、根本的な疑問さえ生まれています。
また、住民の命を守るための肝心の避難計画はまともに作られていません。米国では避難対策は稼働の前提にしているのに日本では自治体任せです。実際、入院患者や寝たきりの高齢者などの移動手段が考えられていないなど問題点が指摘されており、地元で開かれた住民説明会でも不安の声が相次ぎました。
共存できぬ
事故から3年9カ月近くたちますが、福島では今なお12万人を超える人々が戻れず、避難生活を余儀なくされています。
福島第1原発は収束とは程遠い状況です。メルトダウンした原子炉建屋には近づけません。放射能汚染水は増え続け、原子炉建屋地下やタンクなどに現在65万トン以上あり、大量の汚染水が外部に流出しかねない非常事態が続いています。
今年5月、福井地裁は「生存権を基礎とする人格権」が奪われる可能性があるとして、関西電力大(おお)飯(い)原発の運転差し止めを命じました。
これらは、原発と人類は共存できないことを示しています。
再稼働反対は共産党だけ
さよなら原発いのちの会代表の堀切時子さん(鹿児島県薩摩川内市)の話
民主党も再稼働への態度をあいまいにしています。再稼働に反対しているのは共産党だけだと周りにも話しています。避難計画といっても、道路も少なく、花火大会でも渋滞するのに原発事故が起きたら逃げようがありません。周りの人からも「原発反対だからね」と声がかかります。再稼働を止めるチャンスでもあり、がんばります。