九州電力川内原発1、2号機は、原子力規制委への書類提出が年明け以降にずれこむため再稼働は早くても来年3月以降になります。
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原子力規制委は福島原発の汚染水問題で、東電が「関係者の同意なしに海洋放出しない」としていた多核種除去設備(ALPS)の処理水を、希釈して海に放出するべきだとの考えを示しました。(しかしそれは放射性物質の希釈放流を禁じている国際的原則に反することです。がれきの焼却灰を他の物と混ぜて見かけ上の放射能を薄くして埋め立てるのも同じです)
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北陸電力は志賀原発で、地震や火災対策を強化するための工事を追加する方針を示しました。これにより安全対策工事の完了時期は2015年度末に延び、費用は計約1100億円から計1500億~2千億円程度に増える見込みです。
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経産省は、原子力政策の課題を示す「中間整理」で、老朽原発の円滑な廃炉を促す一方、廃炉後に敷地内に新しい原子炉を設置する建て替えに触れるなど、将来の原発維持に向けた積極姿勢を打ち出しました。しかしこれはエネルギー基本計画に逆行するものです。
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川内原発再稼働、来年3月以降に 書類提出に遅れ
東京新聞 2014年12月24日
九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働が早くても来年3月以降になることが24日、分かった。九電が年内を目指していた原子力規制委員会への書類提出が年明け以降にずれこむため。冬の電力需要がピークを迎える来年1~2月に間に合わず、供給体制は厳しい状態が続きそうだ。
九電は、規制委から内容不十分と指摘された工事計画と保安規定の補正書を年内に再提出する方針だった。しかし、記載内容を詰める作業に時間がかかっており、年内提出は不可能となった。
年明けに書類を提出しても、認可に時間がかかる上、その後の規制委による現地検査も1~2カ月程度が見込まれる。 (共同)
第1原発処理水、希釈して放出を リスク低減に向け規制委
東京新聞 2014年12月24日
原子力規制委員会は24日の会合で、東電福島第1原発が抱えるリスクの低減に向け、今後5年程度で優先的に解決するべき中期的な課題を挙げた目標マップのイメージを明らかにした。汚染水問題では、多核種除去設備(ALPS)で処理した水を希釈して海に放出するべきだとの考えを示している。
ALPS処理後の水には、除去できないトリチウムが残ることから、東電はこれまで一貫して「関係者の同意なしに海洋放出しない」との姿勢を示している。
田中俊一委員長は記者会見で「廃炉は汚染水問題を抜きには進まない。タンクにためておく方が危険だと、海外の専門家からも指摘されている」と述べた。 (共同)
北陸電、志賀原発で安全対策追加 工事完了は15年度末
東京新聞 2014年12月25日
北陸電力は24日、敷地内断層の活動性をめぐり議論が続く志賀原発(石川県志賀町)で、地震や火災対策を強化するための工事を追加する方針を示した。影響で安全対策工事の完了時期は当初計画より約1年遅れ、2015年度末となる。費用も計約1100億円から計1500億~2千億円程度に増える見込み。
重大事故の際に現場に指示を出す指揮室は、1号機の南約130メートルにある緊急時対策棟の1階に設ける予定だったが、放射線対策として壁を厚くする必要があるため、同棟の隣に増築することに変更した。
2号機のケーブルやモーター内の油があるエリアで火災感知器など防火設備も補強する。 (共同)
将来の原発維持に積極姿勢 経産省小委の中間整理
東京新聞 2014年12月24日
経済産業省は24日、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会を開き、原子力政策の課題を示す「中間整理」をまとめた。老朽原発の円滑な廃炉を促す一方、廃炉後に敷地内に新しい原子炉を設置する建て替え(リプレース)に触れるなど、将来の原発維持に向けた積極姿勢を打ち出した。
政府は示された課題を踏まえ、電力自由化や将来の電源構成の策定も念頭に、具体的な政策の検討に入る。しかし政府のエネルギー基本計画で示した「原発依存度を可能な限り低減させる」方針とは逆行しており、世論の反発も招きそうだ。 (共同)